向山型国語初心者による
三年とうげの指導(光村3年下)
TOSS英語フレッシュセミナー岡山サークルMAK 吉田真弓
全16時間
「三年とうげ」で向山型国語指導に挑戦した。わたしは向山型国語初心者であり、分析批評の指導もほとんどされていないクラスでの実践である。苦労したところや児童の様子を☆で示し、向山型国語初めての方にも役立つようにと考えた。
(毎時間、授業のはじめに漢字スキルで漢字指導)
1〜3時 音読指導(3時は指名無し音読もふくむ )
4時 「一字読解」(★高橋 健司先生の発問)
(1) 登場人物を3人書きなさい。(おじいさん、おばあさん、トルトリ)
(2) 作者はだれですか。(李 錦玉)
(3) どこのお話ですか。(韓国)
(4) 三年峠とは、本当の名前ですか。(「とよばれる」と書いてあるから違う)
(5) 三年峠とはどんな峠と書いてありますか。(あまり高くないなだらかな峠)
(6) 春に咲く花を4つ書きなさい。(すみれ、たんぽぽ、ふでりんどう)
(7) 秋の植物も4つ書いてあります。書きなさい。(かえで、がまずみ、ぬるでのは)
(8) 教科書を見ないで「ためいき」「むかし」と書きましょう。(ため息、昔)
(9) 「昔から伝えられてきたことがら」をなんと言いますか。6ページにあることばで書き抜きなさい。5文字です。(言いつたえ)
(10) 「転んではいけない」という意味の言葉を6ページから書き抜きなさい。5文字です。
(転ぶでない)
5時 「中心人物」「対役」を指導する。
お話で一番大事な人を「中心人物」と言います。その次に大事な役割をする人を「対役」といいます。 「中心人物」は最初と最後で考えが変わることが多いのです。この話しでもそうです。 「中心人物」は誰でしょう。 |
☆「おじいさんだ」とすぐに答えた。
「中心人物」の考えを変えた人が「対役」であることが多いです。 誰でしょう。 |
☆「トルトリだ」とこれもすぐに答えがでた。
6時 段落分けでおじいさんの気持ちが変化したところをつかませる。
・音読
・段落に番号をつける。
おじいさんの気持ちが変化したのは、何段落からですか。 |
☆容易かと思ったが、意見が分かれ少しではあるが討論になった。
(13)段落派・・・「ふとんから顔を出した。」とあるから、ここで考えが変わった。
(14)段落派・・・「うなずきました」「なるほど、なるほど。」とあるからここで納得した。
☆(13)段落では「ばかな。」といっているからまだ信じていない。(14)段落の「うなずきました。」は納得している。だからここで気が付いた。
「なるほど」ということばは、その言葉を信じていると言うことだからここで考えが変わった。
☆おじいさんの気持ちが変わったのは(14)段落である、と落ち着いた。
7時〜8時 場面ごとの要約指導する。
話が終わっているのは、何段落ですか。 |
お話の部分を4枚の紙芝居にするとします。 どこからどこまでですか。 |
☆場面分けの発問である。ここでかなりの時間がかかった。
場面が変わるところは、「時間・場所・中心人物の気持ち」が変わるところであることが多いです。
というヒントを出したが、なかなかむずかしかったようだ。
慣れない我がクラスの実態では一度に全部させずに一つ一つ分けていく方がよかったと反省している。
それぞれを「○○の話」とまとめなさい。 |
☆要約の発問である。場面要約も初めてだった。
そこで一の場面で「作文の書き出しの指導」にならって、黒板に書かせて採点していった。
キーワード(三年とうげ・よいながめ・言い伝え)の3つがあるかで採点した。
二の場面からは、割とスムーズに要約ができたようだ。
9時〜10時 討論 1(★伴 一孝先生の発問で)
「よいながめ」というのは「三年とうげ」で見ているのですか。それとも「ふもと」で見ているのですか。 |
ノートに書き、討論する。
☆我がクラスでは言葉を根拠に意見をまとめる事に慣れていなかった。そのため、この討論はややむずかしかったようだ。
11時〜13時 討論 2 (★伴 一孝先生の発問で)
おじいさんが腰を下ろして一息入れたのは、どのあたりですか。 |
☆おじいさんの位置を絵に描かせることで、どの子も喜んで取り組んだ。
意見はほぼ3つに分かれた。
・「三年とうげのてっぺん」派・・・「うつくしいながめ」が見えるのはてっぺんである。(多数)
・「とうげに行く途中」派・・・・・・・転んだときに「三年とうげにさしかかりました。」とあるから、休んだのはまだ手前だ。(ごく少数)
・「とうげをすぎたところ」派・・・・・(根拠がなくすぐにつぶされた)
☆討論は盛り上がり、討論をしながら意見が変わる児童もいた。辞書を片手に何時間も討論がつづいた。
この発問のすごさを実感した。ただ、ノートに意見を書くときに「言葉を根拠にして自分の考えをまとめる」という事ができず、とまっどっている児童も多かった。くり返した指導の必要を感じた。
☆「おじいさんの転んだ所はどこか」ということから、「とうげよりかなり手前」ということになった。
「かなり手前」の絵を描いていた児童はわずか2人で(28人学級)逆転現象が起きた。
14時 「一字読解」(★高橋 健司先生の発問)
(1) 反物とはなんですか。(着物を作るための布)
(2) おじいさんは何につまずいたのですか。(石)
(3) おばあさんがおじいさんのためにしたことを3つ書きなさい。(お医者を呼ぶ、薬をのませる、つきっきりで看病した)
(4) おじいさんの見舞いに来たのはだれですか。(トルトリ)
(5) トルトリの仕事はなんですか。(水車屋)
(6) 水車屋ってどんな人?(水車を使い米や麦を粉にひく仕事をしている人)
(7) トルトリは本当に見舞いに来たのですか。「本当」「うそ」と書きなさい。
(うそ)
(8) では何をしにきたのですか。(おじいさんの病気を治しにきた。)
(9) トルトリは「どこ」で「なにをする」とおじいさんの病気が治ると、言いましたか。
(三年峠でもう一度転ぶ)
(10)「ばかな」といったおじいさんは、もう一度転ぶとどうなると思ったんですか。(もっと速く死ぬと思った)
15時 主題を書く。
主題というのは「物語が読み手に伝えようとしているメッセージ」です。 「人の世は〜」 「人間は〜」と書き始めてごらんなさい。 |
16時 全体の感想を書く。
参考文献 伴 一孝氏「三年とうげ」の発問
高橋 健司氏 「三年とうげの一字読解」