SUGIYAMA F-850
過去いくつかあった「一発モデル」の中のひとつです
1979年の発売当時は、ナショナル(現パナソニック)やNECなどの家電メーカーも参入のあった時代
当時は、アメリカを抜いて世界一のアマチュア無線人口(約135万局とか)となった我が日本
今やその面影も無く?その人口は40万局近くまで減少の一途のようです
本機は、杉山電機製作所(現在の杉山電機システム)から発売された、特色あるトランシーバです
予告された、外部VFOや100Wリニア・アンプなど日の目を見ること無く、市場から一発退散となりました
リアパネルの様子です
HF帯/50MHz帯/144MHz帯と3つのアンテナ接栓があります
電源は、ひとつのコネクタでDC12VとAC100Vの接続違いのケーブルが用意されます

電源も含め、オールインワン設計
当時としては、画期的と言える1台のトランシーバで、1.8MHz帯から144MHz帯までカバー
それもCW,SSB,AM,FM全てです
モデルは2種、送信パワーの違いでは無く、フィルタがフル装備かオプションかの違いでした
FETの登場で、RF段はFETオンパレードだったこの時期に、CATV用のTr(コレクタ損失3.5W/放熱フィンが付いている!)を採用して、ダイナミックレンジを稼ぐという設計の、シングル・スーパー構成が採用されています
フィルタも4段階の切り替えが可能としてあります(本機は、残念ながら2.4KHzフィルタのみ搭載の「S」モデル)
プッシュ・スイッチの多用というのも、他社ではあまり目にしない珍しい設計です
内部を見ると、リード・リレーが一杯使ってあります
フロント・パネルの構成としては、非常にシンプルで使い勝手良くしてありますが、内部はと言えば、かなり複雑な構成が取ってあります
基板間は、両端コネクタのハーネスで接続、です
作り方としても、あまり他社が採用したことの無い手法のように思います

本体上蓋を開けたところです
上の方にずらっと並んでいるのがバンド切替用のクリスタル群です

下に見えるプッシュ・スイッチは、バンド切替用のもので、2段を使って拡張(500KHz単位)するように構成されています
この基板は、デジタル表示ドライブ基板です
この基板が取り付けられているフロント・パネルに取り付いたシャーシの下にモード切替基板があります

左下に見える基板が、MIC/AF基板
キャリアユニットは、この写真では見えませんが、その上に位置します

見えている基板の真ん中やや上あたりの下に、ACトランスが取り付いています
こちらは、底蓋を外した内部です

薄い黄色に見える長方形のものは、リード・リレーです
一般的にはダイオード・スイッチかも知れませんが、アイソレーションなど、もしかしたら機械的な切替のほうが良いという判断だったのかも知れません

右上に見えているのは、2.4KHzフィルタ(その横に3本のフィルタ・スペースあり)で、下に同様に見えているものはFM用のDISCです
一般にFM用のIFは分けて別にしてありますが、本機では全て共通のIFとなっています

左部分が、RF部(バンド毎の同調回路が並んでいます)
リード・リレーのアップです

今回、SSB,CWが全く受信できなかった(正確には、全く受信音が得られなかった)故障の理由が、このはずしてあるリード・リレー・コイルの断線でした
もちろん使ってあったものは廃番になっていますので、構造的に接点間隔がほぼ同じの入手できるものを探し、工夫をして置き換えました

本機入手時には、7/144MHz帯が全くと言って良いくらい送受できず
他バンドも、送信できるのはCWとFMだけで、AMとSSBは、全く送信できず、受信に関しては、CWとSSBについて全く音が出ない(Sメータは振る)という状態でした
修理のために基板を取り出す

フロント・パネルに取り付けたシャーシの下にある基板・・・上の写真にある基板です、取り出すために、まずフロントパネルを外すところからスタート

ここまではなんてことは無いのですが・・・

本機は、シャーシを挟んで、最高4段の基板構成です
フロント・パネル・シャーシの取り外し
さて、どう対処すれば良い?お悩み中のワンショットです
まるで壊す寸前状態です

正しい分解手順が分かりません
それ以前に、回路図も何もありません
唯一、見つかったのがWEBにあったブロック・ダイヤグラム、でも助かりました

CW、SSBが全く音が出ないことについては、モード切替に連動したリード・リレーに問題があるという予測はたちました
たまたま、AMとお隣のLSBボタンを同時に押したら検波音が出た! ん??

ACトランスと、平滑コンデンサ(2個)が見えています
このモード切替スイッチが乗っている基板をやっと外すことが出来ました

これで、予想どおりリード・リレーの断線が確定となり、交換することが出来ました

ひとつ欠けてみえるところのリード・リレーがNGでした

ご覧のように、フロント・パネル・シャーシは、取り外しています



余談ながら、二度とこのような分解作業はしたくありません!!
入手した本機ですが、結露したような痕跡が各所にありましたが、まずまずの保管状態であったと思われます(40年前の新製品 日本にあって、日本製品であればこんなもの)
TRIO製品に見られる、基板の取付部の接触不良による不安定さは見受けられませんでした

トラブルの続きですが、
VOXが働かない、CWではブレーク・インできない(要は、PTTでしか送信できない)
明らかにMIC入力/AF基板上に問題がある・・・VOXアンプIC、制御TTLIC・・・この際ですから全部外した上でソケットを取り付けて、手持ち分で交換しました(犯人は、LM3900Nと74LS123)

AM、SSBでパワーが出ない・・・これは、予想どおりDBM-IC(LM1496)がNGでした
こちらも取り外して、ソケットを取り付けた上でICそのものを交換しました

あとは、基板の半田不良というか劣化
キャリア・レベルが低いと思ったら、キャリア・ユニットから引かれてくるケーブルのアース側が浮いていた
受信感度(送信パワー)が、変化・・・リード・リレーの半田付けの劣化・・・こちらが2箇所

144MHz帯の感度を除くと、あとは調整で送受ともスペック・データはクリアできたように思います

今回の挑戦では、144MHz帯で、思うような感度が得られません
また1.8〜14MHz帯と、21〜50MHz帶では、内部雑音の量が違うし同じレベルの信号に対してSメータの振れも違う、明らかに増幅度が異なります
カタログを見ても、そのことを思わせる記載があります
受信感度 ダイナミック・レンジ 三次インターセプトポイント(IP3)
1.8〜14MHz帯 0.35μV S/N10db 100dB +20dbm
21〜144MHz帯 0.25μV S/N10db 95dB
TopにCATV用Tr(2SC1426:受信のトップながら、ヒートシンクが取り付いている!)、MixにはDBMを採用、その出力には16KHz巾のフィルタを採用(FM時の選択度は、これで決まる)したシングル・スーパー構成で、当時としてはかなり高いダイナミック・レンジを得ています
ローバンドは、ダイナミック・レンジを優先し、ハイ・バンドは感度を優先
これらの設計が特徴的に思えます

回路図がなく、これ以上の追求は止めました!(144MHzTopは別回路で、単純にここに使ってある2SC1426の劣化かも)
現状で言えることは、21〜50MHz帯については、非常に感度が良い、です
1.8〜14MHz帯は、普通に感度が良いです!
VFOは11MHz台の自励発振ですから、それなりのドリフトはあります(VFOですから、動きます!)

今回は、大変よく遊ばせていただきました(頭の体操と、手先の運動をさせていただきました)
コレクションが1台(1機種)増えました

マイク・コンプレッサ内蔵・・・マイクレベルを上げるとコンプレッションがかかる、特段の操作は不要
可変できるBFOを内蔵、重量感のあるメイン・ノブ(真鍮の円柱にカバーが!)で1回転が16KHz程度
プッシュ・スイッチのおかげで、いかにもワンタッチで操作できているという感覚が得られる
など、他社とは少し違ったフィーリングを持つマシンです
2019.03   JA4FUQ

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