TAIYO NT-110B
太陽無線製の短波専用受信機 NT-110Bです
ロゴに「Solar」とあります  NT-110/A/Bと種類がありそうです
1stIF=2.5MHz 2ndIF=150KHzのダブルスーパー構成で、1963年の登場かなと思います
メインダイヤルで 3.5〜7.5MHz  7.0〜15.0MHz  14.0〜30.0MHz 3バンド
この範囲の中で、スプレッドダイヤルでもって HF5バンドをカバーします
サイズですが、380幅 x 210高さ x 285奥 と、そこそこコンパクトです

本機は、真空管11球による高1中3の構成で、プロダクト検波を有します

シャーシ上面をリアより
150KHzのIFT(3個)が大きく見えます
さすがに選択度はよく、AM放送受信には全く適しません
左に見える小さいIFTが、2.5MHzの1stIFトランスです
左端のFT-243水晶片は、1stIF=2.5MHzから150KHzの2ndIFに変換するためのもの
アンテナ端子は、陸式ターミナル(2端子)からBNC-Rに交換しました
フロントパネルを外したフロントシャーシの様子
糸掛けダイヤルの緩みについても、この時点で修正します
メータのカバーが外れて、針が引っかかるような状態にあったので、両面テープを使って補修しました
シャーシ下面
追加した電解コンデンサが写っています
容量抜けが気になったもので、1個だけ追加しました
中圧105Vは、定電圧放電管で安定化させてあり、その効果は十分発揮されています
こちらは完成品で、非常にきれいに配置、半田付け&配線されています
AF-VRは後で交換されたものらしく、φ30と大型でBカーブのもの、いきなり大きな音がしますので、ここはAカーブのものに交換です
左写真は、上写真の左上部をアップで、きれいに配置、半田付け&配線されている様子がよくわかります
RFオシレータ部には、スチロール・コンデンサが使用されています
また、当時普及していたコイルパックの採用ではなく、ひとつづつの単独のコイルが使用されています
リアから見た本体右半分です
手前は電源部で、整流管と定電圧放電管が見えます
発熱を意識して、管の周囲は通気の穴があけてあります
電源トランスの奥にあるIFT状のものは、150KHzBFO発振コイルです
周波数可変(BFOピッチ)のVCには、ポリバリコンが採用されています
その右に見える球が、プロダクト検波に使用されている6BE6です
webにある写真で確認すると、少なくともNT-110においては、1stIFのアンプはなさそうです
すなわち高1中2の構成だと思われます
同じ管球数ですが、6BA6 1本の使い方が異なるようで
NT-110では、1MHzマーカー 
NT-110Bでは、1stIF-Amp
に使用されていると思われます(記事最後に訂正?)
写真は、本機の1stIF部です
従いまして、マーカーの内臓はありません

本品は完成品で、真空管1本の劣化(感度低下の原因)が気になって交換したくらいで、ほかに大きな問題はなく、各種調整後、実際に稼働をさせてみての感想です
AM全盛時代(後期)の受信機ではありますが、短波放送の受信に適していません
選択度が良くて、鼻つまみの音にしか聞こえません
日本も、これからはSSBの時代という黎明期にあっての登場ですので、SSB受信ということを大きく意識した設計が行われたと考えるのが順当かもしれません
そのSSB受信ですが、本来のBFO周波数固定で、スプレッドダイヤルを回して選局/復調することが出来ます
CW/SSBモード時は、AGCはOFFが当たり前の時代で、プロダクト検波を採用したとはいえ、それなりにIF/RFゲインを絞ってやらないと、フルゲインのままではまともな復調はできません(特に、本機ではゲインが高い!)
が、コツがわかると(ゲイン調整が適切にできると)、スプレッドダイヤルだけを手にして選局/復調できます
POWERスイッチでスタンバイして戻ってきても、ちゃんとその時の信号を受信します

右端の二重ツマミ
パネル刻印は、IF GAINですが、実際は外がIFゲイン調整で、中がRFゲイン調整です
この使い方(正しい使い方)が、取説もなく(回路図もない!)よくわかりませんが、フルゲインでは明らかにゲインオーバーで、IFゲインを半分近く絞った状態を普通として使用するのが適切そうです
そのうえで、必要に応じてRFゲイン調整をする・・・
IF3段増幅(1stIF=1段、2ndIF=2段)で、かなりのゲインを稼いでいることには違いありません


なかなかの高感度です
IFゲインを半分近く絞った状態での実測です
1KHz30%変調ON/OFFにより、S/N=10dbが得られる信号強度について 
周波数帯  必要な信号強度 
 7MHz 0.6μV
14MHz 0.8μV
21MHz 1.2μV

安定度もそれなりに良くて、S/Nも良く、SSBの復調音にも余裕があります!?
当時として、非常によくできた受信機だと感じます(実践向き)

NT-110発売当時の回路図を入手することができました(2020.07 CQ1963年8月号記事)
これによると、最初から高1中3の構成です(本機と同じ)
マーカー内蔵モデル(高1中2)は、一体???
消去法では、NT-110Aが該当しそうです
広告を見て思い出しました…型式先頭のNTは、オーナーのJA1NTからきていることを・・・
2020.04   JA4FUQ

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