INDEX LABORATORIES QRP PLUS
1996年の発売で、当時$595で、QSTなどで広告されていました
その昔、義父が移動で使っていた覚えがあります
アマチュアバンドとしては、1.8MHz帯から28MHz帯まで、WARCバンドを含む9バンドを、SSB・CWでカバー
BCL向きには、1.5MHz〜30MHzまで連続受信できます
VFOは、10Hzステップ、FASTで100Hzステップに
送信出力は、最大5W
CWはフルブレークインで、エレキ―を内蔵します
受信の選択度は、100Hz〜2.4KHzまで可変・・・オーディオフィルタですが、気持ちよく変化します
受信感度については、公表されたデータが見つかりません(後述します)
電源は、DC13.8V 最大1.2A程度で十分です(5W出力時)
非常に省電力で、受信時は音量を上げても100mA強しか食いません

受信は、トップミキサのシングルスーパーヘテロダインです
トップミキサー(送受兼用)で、RF増幅回路はありません
アップコンバージョンで、IFは、50MHzです
双方向アンプ通過後、6素子のクリスタル・フィルタを通して1段IF増幅後、検波・・・・プロダクト検波です
その後、可変のオーディオフィルタを通過してスピーカーを鳴らします
このオーディアンプの前にAGC用のアンプが用意されており、1段のIFアンプの利得を制御します
送信は、マイクアンプ後半でALCによる利得制御、平衡変調器からフィルタ、双方向アンプを通て送受兼用のミキサーを通過、プリアンプ、ドライバーを通って終段へ
全体としてDBM,トロイダルコアが多用されています

正面やや左から全容
13.8(W)x10.5(H)x16(D)cm とコンパクト
重量は、2340g  軽量感はありません!
むしろ頑強なイメージです
リアパネルの様子です
アンテナは、M-R
DC電源は一般的なジャックです
ヒューズも標準のφ6.4x30mmのもの

左から
サイドトーン音量調整、MIC入力、MICゲイン調整、CWパワー(指でつかめます)、パドル接続(エレキ―内臓)、キー接続
上蓋を開けて上から見た中身です
スピーカーは天板に取り付けられています
アナログVFOなら音声出力でドリフトしそうですが、さすがディジタルVFO
バックアップ電池の交換は、当初より上蓋を外すだけでできる構造になっています
4層になった基板、上3枚を取り外したところです
フロントパネル裏に、液晶表示部(SW類、ロータリーエンコーダ付き)が取り付いています
一番上に配置されている基板です
後ろに見えているスペーサの上に載せる構造です
受信TOP、ミキサ、クリスタルフィルタ、IFアンプ、プロダクト検波まで
送信については、受信共用のクリスタルフィルタ、ミキサ、そしてプリドライバまで
50〜100mWの送信出力が得られています
いわゆる無線(エキサイタ)部は、この基板1枚です
フィルタは、クリスタル6枚によるもの、基板右奥がそのものです
AFフィルタ、マイクアンプ、ALC、AGC、AFオーディオなど
バックアップ電池は、オリジナルはCR2016でしたが、長寿命が期待できるCR2に交換しました
電池右上に見えるのが元々ついていた電池ソケット
キー接続端子、パワー調整つまみなど背面に出ている端子、VRは、この基板上に配されています
 コントロール、VCO部です
キャリア(BFO)信号もこの基板で作られています(50MHz一発発信)
今回の不動の原因の一つは、3枚の基板をつなぐフラットケーブルにありました
左端に見えています
この真ん中のコネクタに接続不良がありました
ファイナル、LPF部です
4層になっている基板の底部で、ケースに取り付いています
TTL-ICに見えるのは、リード・リレーです
50〜100mWの信号を3〜5Wに増力します
ファイナルは、MosFETで、FHの下、ケースに取り付けられています(放熱都合)
昔流行ったIRF510です
基板上に見えるTrは、ドライバです
不動の状態で入手しました
4層の基盤を外して様子を見ようとして気付いたこと
周波数変換用ケーブルと、RF出力ケーブルの接続が反対になっている!?
これでは動作しません
前オーナーが手を入れているとき、どこかで動作しなくなったらしい
バックアップ電池が「0V」だったので、容量の大きな電池に交換
それでも、電源を入れる度にいろんな周波数を表示して安定しません
CPUのリセットを疑って、Cを交換
やや安定に起動するようになったかなと思ったら、今度は全く送受しなくなりました
起動後の周波数表示も変だし???
何回ON−OFFを繰り返したことか
ここで投げ出そうかと思ったのですが、あとは意地で・・・
最終的に分かったのは、基板3枚を繋ぐフラットケーブルのコネクタの接触不良
こうなると、ナガシマ君です(動物的感! AIに負けないかも!)
コネクタ FC−26Pの抑えカバーのロック部が折れていて、しっかりケーブルを抑えていなかった・・・
前オーナーが何度か分解を試みた際に起きたのでしょう、3つの真ん中のコネクタ部です
なかなか見つけるまでは大変でしたが、分かってしまえばコネクタを入手するだけ
結局、抑えの部分だけを入れ替えるだけで解決しました
コロンブスの何とか、分かってしまえば・・・です
同軸ケーブルのアース側が切れたもの、切れかかったものがあります
何度も抜き差しをした結果でしょう、修正しました
最後に
周波数表示を補正するトリマはありません、数百Hz誤差が生じています

無事稼働を始めたということで、レポートです
送信において(13.0V)
1.8〜29.7MHz 3W以上のパワーが得られました
7〜18MHz帯にあっては、5Wが得られています
受信にあっては、計測上の感度は良くありません
すなわち無信号時のノイズフローが高いレベルにある、です
目的とする信号の識別ということであれば、0.2μVの信号も聞き分けられます
スペックに受信性能が記されていなかった理由が分かったような気がします
実際のQSOにあっては、QRPということもあり、この感度で問題ないといえるでしょう
本機は、400番台の初期型(Ver1)ですが、後継機は、このノイズ対策が行われたような記事もありましたが・・・

割り切った設計かつ多機能
周波数表示のドットは、小さな丸のシールです、液晶表示器に貼ってあります
送信ファイナルの放熱もケース直付けで済ませてあります(発熱は少ない)
強い信号には弱いことは最初から織り込みのようで、20dbのアッテネータが用意されています
RIT、あるは送受セパレート運用にも対応
CWエレキ―は内臓ですから、用意はパドルのみでOK
電力消費も少なく、そこそこの性能がこのサイズで得られるとなると、ある意味画期的な製品と言えるかもしれません
実際にアンテナをつないで受信してみて、十分Watchに耐えます
2025.07    JA4FUQ 

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