hallicrafters S-38
このデザインは、多くの方になじみ深いと思います
国内では、DELICA(三田無線) TRIO(春日無線) 菊水 などから、本機をまねた製品が多く登場しました
本機が、それらのオリジナルです
工業デザイナーの草分けといわれる、フランス生まれの レイモンド・ローウィが、デザインを手がけた民生用通信型受信機です 

本機は、1946年に発売された民生用通信型受信機です
本国から遠く離れた赴任地の軍人、軍属向けに放送されていた放送を聞くために作られたと言っても良いと思われる、当時のヒット商品です
海外で、本国にいるのと同じ情報を得る、流行っている音楽(多分ジャズでしょう)を聴くなど、ラジオに頼るしかない時代でした
BC帯から32MHzまで4バンドでカバーします
   1:540KHz〜1650KHz  2:1.65MHz〜5MHz
   3:5MHz〜14.5MHz    4:13.5MHz〜32MHz
構成は、5球スーパーにBFO回路がついた6球構成 
全てGT管で 
 12SA7 ― 12SK7 ― 12SQ7GT ― 35L6GT ― 12SQ7GT ― 35Z5GT
本機では、BFO発振とANL用に、12SQ7GTが1本使われています
電源は、トランスレス方式で、小型軽量です
  178H x 327W x 184D   約5Kg
このシリーズは、その後 S-38A S-38B S-38C S-38D S-38E まで続き、15年間という長い期間にわたって製造/販売されました
S-38Dからは、長方形の大きな窓(スケール)を持つパネルデザインとなりました(S-53と同様のデザイン)


ダイヤル点灯は、こんな感じ
ダイヤル中央に、照明用ランプ一つが用意されています

左の扇状の窓が、メインダイヤル
右の扇状の窓が、スプレッドダイヤルです

底面です

リアパネルです

写真左から、
アンテナ端子
Phone出力
ACコード
これだけです


リアパネルを外して、中を見たところ

GT管が5本見えます
残り1本(周波数変換)は、左IFTの奥に
左から右に信号は処理されます
天板にはスピーカーが取り付けられており、オールインワンのコンパクトな受信機だといえます
底板(裏ブタ)を取り外して写しています(写真下が、フロントパネル側)
左端がアンテナコイル
中央がOSCコイル
下がフロントパネルですが、その中央やや右に寄りに見えている筒状のものはBFO発振コイルで、ダストコアを直接ツマミで回します
ツマミに工夫がしてあり、1回転以上回せないようになっています

青色のチューブラ型電解コンデンサは、前オーナーが交換(追加)なさったもの
トランスレス・・・やるかなと思っていた、漏電ブレーカーを落とすことは無く、メンテできました

BFO回路を内蔵
CWの受信が精いっぱい、強力な信号に対しては、感度を絞る方法(検波段への信号レベルを下げる方法)がないため、ビートがかからない状況にもなります
さすがにSSBの復調は、まったくNGです
ツマミの工夫で、くるくる回って一体どこに合わせているのかわからなくなるようなことにならないようにしてあるところは、さすがです
邪道かもしれませんが、7MHz帯で感度を測ってみました
1KHz30%AM変調のON/OFFによるRF信号で、S/N10dbが得られる信号強度は、現状で10μVでした
電源は、115Vでの稼働です
2021.08  JA4FUQ

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