Heathkit SB−104A
↓ これだけ並べると巾116cmあります、存在感は十分!
左から SB-644 SB-104A SB-614 SB-604(HP-1144内蔵)

オール・ソリッドステート 3.5〜28MHz帯100W + 15MHz帯受信 SSB/CW
アメリカン・・・赤のアクリルカバー越しにバックライトがあたるメーター、オレンジに光るニキシー表示
Drakeのブルーに対抗?して、こちらはレッド、いずれにしても日本ではあまり見かけない配色を採用
MICジャックは、TR-7に合わせたものに交換しました(ここだけ輝きが違う!?) 
その昔、ワーゲンの空冷エンジンを搭載した飛行機のキットまで出していたHeath社のアマチュア無線機/HFトランシーバです
Heath社の社歴は古く、1900年代に創業され、1926年には軽飛行機をキットの形で販売を開始、計測機器、オーディオ機器、テレビ受像機、アマチュア無線機、趣味向けのコンピュータなどを使用者が組み立てるキットで販売、安価で工場生産品に見劣りしない結果が得られると、特にアマチュア無線関係は社にとって大きな成長分野であったようです
その後、時代の変化もあり紆余曲折があるも、2012年5月の倒産まで社歴は続きました(キットの販売は、1992年3月で終了)

本機も、元はキットに違いありません(どこまでがキットだったのかは不明!)
1970年代後半から80年前後の製品かと思います
当時、キットで$700足らずだったと思います(同年代のDrakeTR-7は、$1,500くらい)
VFO以外、真空管式だったSB-102が、約$400でしたから、当時としては高額なきっとだったことでしょう
それだけオールソリッドステートで、チューン無しで使えるというメリットが大きかったことと思います

どなたかの手で組み立てられたものを長期保管・・・そんなものを入手しましたので、最低の動作を行うまで手を入れてみることにしました
組立(調整)マニュアルが無いため、ある意味お得意の?エイヤッです
その昔、ソニートレーディングが国内代理店をしていた頃、SB-102(HFトランシーバ/管球式)を入手し、組み立てて実用していた経験はあります
SB-102は、VFO/LMO以外、全てキット化されていました(その後、どこへQSYしたか覚えていません、写真も残してないし・・・)
国産では、TRIO/KENWOODが、これらHeathkitsの周波数構成を真似ています(IF/3395KHz)
ぱっと見たイメージは、KWM−380 この頃の流行りであるTOPミキサー方式を採用しています
キット化のためか、調整部分を極力抑えた設計がなされています(IFもIFTはなく、トロイダルトランスが採用されています)
そのため性能を極めるような調整は、最初から考えない・・・・キットを組み上げたものが、必ずしも電気的な性能を保証されたものとも限りませんから、最低の動作が得られれば、そこでオシマイと言うことで割り切った取り組みをスタートしました

デジタル部から受信RFトップまで
6枚の基板が整然と立っています

左下ファイナル部の左上がドライブ部(1W時ファイナル)
その上はLPFユニットで、茶色の小箱は180Vインバータ部
金属部は、全てアルミニウムが採用されています 
キットのせいか、ゆったりとしたレイアウトです
IF信号、ドライブ信号などリアパネルから取り出せるようジャックが配されています
基板はガラスエポキシですが、経年変化でしょう、反りが生じています
調整箇所は、ほとんどありません(触れるところがない、基板のレイアウトからエクステンション・ボードでもなければ手が付けられないという事情もあるのでしょう)
オプションは、CWフィルタとノイズ・ブランカ(いずれも今回のマシンには、装着されておりません)
VFOですが、これまた意外と安定です(減速は、バーニア2段・・・1/36 1回転当たり30KHz弱程度)
面白い試みと思えるのは、ファイナルユニットの前のドライブ出力を切り替えて取り出せること、100W/1Wの切替がフロントパネルからできます
無調整を支えているのは、トロイダルトランス(フェライトコア)の多用・・・この頃の日本はまだ、高周波的に材質の良いものを手に入れるのが困難な時代です
現役に耐えるまでの取り組み

まず機械的なところから
PowerSWはスプリングが錆び付いて動かない・・・SOFT99とアルコール洗浄スプレーの世話になりました(外部電源のON/OFF連動を考えなければ、このSWは使用しなくて済むものです)
AF-VRは、交換(抵抗値の変化に異常)
フロントパネル飾り窓/真ん中の窓については、照明のランプを取り外し、目隠しをしました(元々コールサインなど浮かび上がらせて表示?)
MICジャックもオリジナルの2Pのものを、DrakeTR-7に合わせた4Pに交換しました

電気的な点検
入手時点では、送受信は出来ませんでした
ただ、VOXは動作しましたし、AF−VR を上げればIFノイズはいくらか聞こえます
IFブロック出力に、外部から0dbm/3395KHzの信号を入れると、とりあえず受信もすれば送信もパワーがでます
デジタル表示(なんとニキシー・・・DC180Vもかかっている/そうとはつゆ知らず、感電しました!)については、10MHz台の表示が変ですが、それ以外はきちんと表示します

送受信できなかった直接の原因は、小型PNPトランジスタの不良・・・送受の電源ライン切替SWとして入っているものが2個NGでした(同じ型式のTr)
しばらく通電されていなかったせいか、時間とともに状況が変化・・・送受信動作を始めてからも色々惑わされましたが、最終的には落ち着きました(コンデンサを疑ってチェックしましたが、意外と問題はなかったです)
OPアンプを多用・・・パッケージ内で信号漏れ?隣のブロックに干渉? これらよく分からない現象がいくらか残っていますし、感度を取るためか当時としては普通だったのでしょうが、検波回路に入るIFのレベルがどう聞いてみても高いし、AF音もローカットが過ぎているようです(当時の音がします!)が、こんなものだと割り切りました
受信感度そのものはまずまず、送信に関してはパワーは出ますが、バンドによっては電気を大食いし、ドライブレベルも下がっている感じがあります(ALC表示から)
フルパワー運用を目指さなければ、特に問題にはならないでしょう(定格出力の50%以下で運用するようにするのが私のルール)
ニキシードライブ/BCDからの表示ドライバですが、探したところ中国に在庫があったので、NGを覚悟で数に余裕をもって発注をしました(古いものですから、そうそうどこにも残っていません)

とてもとても、最近の優秀なマシンの傍に寄れるものとは言えませんが、その時代のマシンとして復活させることが出来ました(バンド表示10MHz台の表示については、ドライバICの入荷待ち!)
その後:
宿題であった10MHz台の周波数表示
ドライバIC(NS DS8880N)が届き、交換によりバッチし一発OK、予備が余ってしまいましたHi

あと妙な表示の原因
「1」が「7」に見えるような横棒がうっすら増えたり、「2」の縦棒が本来の発光より少し暗くつながって見えたり???なんとなく電気が漏れたような感じ・・・と言うのが、結果として当たっていました
DC180V駆動のニキシーと言うことは、先にご紹介しまたが、この高電圧のせいか、基板上の古くなった半田のヤニが漏電を助けていたようです
アルコールでヤニを拭き落とすことで、全てOKに

ラインオプションについて
外部VFO SB-644

この後、SB-644Aと言う製品が登場しています
このものは、少々年代が古そうです

写真は、上下カバーを外して正面から撮ったもの
ダイヤル・スケール右に、白っぽいものが見えていますが、これは写り込みです
SB-644の内部です
年代を感じる見栄えですが、キチンと動作します
1枚のシャーシの上にVFOユニットが乗っています
基板には、クリスタル2個が取り付けられるようになっています(トリマが見えます、フロントパネルSWで選択可能)

この基板上にあるダイオードSWが壊れていました
このVFOをつなぐと、本体側のVFO信号が戻っていかなくなっていました
周波数表示はすれど、正常に送受できず・・・この場合ですが、VFOのレベルが低下していました
こちらにおける周波数表示は、ご覧のようにカーソルが0〜500KHzの間を動くのみ、具体的な周波数は本体にデジタル表示されます

外部スピーカー SB-604

外部スピーカーの中に、DC電源が内蔵されています
HP-1144という純正の電源アダプタの上蓋を外したものが内蔵してありました

スピーカーの取付に注目
しっかりした分厚い板に固定されています
ケースを分解すると、こんな感じに

背面は、全ての面積をヒートシンクに割当
ケーブルの出し入れは、底面に穴を開けてあります
このあたりは、国産品ではあまり考えられないパターンかも

ケースは、オプションは共通に使われています(SB-644、604では、サイドパネルが前後ひっくり返して使ってあります/バッフル板の取付都合)

モニタ・スコープ SB-614

送信波形をモニタできるスコープです
モードの切替は、SSB、TRAP、CROSSの3つ
リニアリティのチェックができる、TWO-TONEオシレータの内蔵は、ありません
通常のオシロ・スコープとしても、使用できます

受信IF信号をスペアナ風に見せるバンド・スコープは、このシリーズにはないようです
管球式のSB-100〜102、300/301シリーズには、SB-620という用意がありました
デザインと真空管式を気にしなければ、同じIFですから、なにがしかの対応で使用できると思います
内部はシンプル
でも、きちんと基本は押さえてあります
レイアウトですが、KENWOOD SM−220が、なんとなく似ています(誰が考えてもこうなるのかも?)
TSシリーズが、Heathを参考にして生まれてきたことは周知の通りです(TS-311/TS-510以降、DSPの採用になるまでの間)

故障箇所は、水平ソースフォロワ/FET・・・水平に輝線がでない状態でした
Nチャンネルのものでしたので、手持ちのJ310で代用しました
試しに、15W 21MHzのTWO-TONE送信信号をモニタしてみました
これ以上、縦の振幅は得られません、やはり50W程度は最低必要そうです
こちらは、1KHzの低周波信号をV端子に入力した時の表示波形です

ブラウン管の輝度が少し低い(暗い)感じがするのですが、FOCUSはきちんと取れていますので、これで正常な輝度なのかも知れません(正しい動作品を見たことがない!)

水平軸のリニアリティが今一歩?!
V/Hのバランス調整
マニュアルに従って、調整したつもりなのですが・・・
本シリーズには、あとコンソール・ステーション/SB-634と、8873シングルのリニア・アンプ/SB-230があります
SB-634
デジタル時計、最大2Kwまでの通過型電力計/SWR計、フォーンパッチ・コントロールの機能を有します
SB-230
粉末は発がん物質と言われる酸化ベリリウムを絶縁に使った熱伝導式(ヒートシンク方式)のEIMAC 8873をシングルで使った、入力1Kwのファンレスのリニア・アンプです
無線機本体は、オール・ソリッド・ステートで、ノーチューン 静かなリニア・アンプと、当時は凄く先進的なものだったのだと容易に想像がつきます
余談ながら、このEIMAC 887※シリーズは、ある時期アマチュア無線業界で多用されたのですが、その後入手が極めて困難となりました
オプション追記 2017.05 & 2017.07  JA4FUQ


上記ラインオプションを入手したく、一式で手に入れた中に、本体/SB−104があります
不動と言うことでしたが、このまま飾りにするには見た目が後一歩、それならいっそ直してしまおうと、また悪い癖で修理に取りかかりました
例によって、槌より柄の方が重たくなってしまう可能性が「大」です

クリスタルフィルタ  P/N 404−283
バラしているのは不良のもの、その右は新たにeBayで入手したものです
一時は、クリスタルを特注して直そうかとも思いましたが、まぁ一度eBayを探そうと思い立った結果です

こちらが、もう一つの犯人
QRP 1W(パワーLowポジション)での運用時は、このボードがファイナルとなり、切替リレーの音もな、く送受切り替わります
保管状態が良くなく、見た目はあまり良くありません
レタリングも消えているところがあります
またVOX関係のツマミ2つは、純正ではありません

通電してみたところ、AF関係は活きていそうですが、RF関係は全くNGのようです
まず、湿気の多い国内での長期保管品ですから、スイッチ関係の接点、ボリュームのスライダーなど念入りにクリーニングをしました
その結果、
受信:IFノイズが聞こえるが感度が取れない
送信:VOXは動作するも全くパワーが出ない
    ファイナルのアイドル電流が流れるだけ
こんな状況からの本格修理スタートです

チェックを進めていくと、IFボードと、ドライバPAボードに問題というか原因があることが分かりました
手持ちのSB−104Aのボードを引き抜いて、差し替えることで、ほかの動作に問題のないことは確認できました
動作する同じマシンがもう1台あると、こういう確認には極めて便利です(細かく言えばボードのバージョンは違います!)

さてここからが難題
調べを進めると、IFボードの中にある原因・・・とにかく感度が取れないのですが、なんとクリスタルフィルタがNG
送信ドライバPAボードに於いては、要のTrが2本ともNGです
いずれも、そこここで簡単に入手とはいきません
海外を頼るしかない・・・eBayを探してみました
あるところにはあるもので、クリスタル・フィルタはHW100用として出品されているものを発見、同じ型式です
ドライバPAに採用してあるTrは、TRW社PT6619で、カナダのWEBには掲載があるところもありました
さあどうしようと言うところで、ボードそのものが売りに出ていないか、またeBayをチェック・・・なんと同列の型番のものを見つけることが出来ました
送料を含めたコストはともかく、まさに、eBay様々です
以上の対応で、キチンと全体の動作をするようになりました、70年代の古いものでも、やる気になれば修理は出来るものです!?
2017.07追記


HeathKit SB-104

ラジオキットから園芸用品、飛行機のキットまであったHeathの組み立てキット(今はもう存在がない会社になりました)
70年代は、SONYトレーディングが国内の輸入代理店でした
SB-104は、HFオールソリッドステートのトランシーバーで、SBシリーズ最後の機種となりました

 資料提供:JA4BMV
 


真空管式最後のSB-102(その昔、TRIOが手本にしていた周波数構成)は、キットを組み立てて使っていましたが、残念なことに写真がない!
どこにQSYしたかも覚えていません・・・・
JA4FUQ

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