MIZUHO SB-8X

 TRIO 9R-59 TX-88Aの設計者として知られているJA1AMH 故高田氏により設立され
1代で消滅(2012年廃業)したMIZUHOの、最後のほうの製品になると思います
MIZUHO最初の製品は、FB-6J(1Tr+4球、受信は超再生方式)という
50MHzトランシーバ・キットで、たしか1972年の発売でした
その現物を手にしたのは40数年前、一度修理をした時だけです
MIZUHOといえば、ハンディ型のピコシリーズが、一番有名だと思います
大型・ハイパワーなHF運用が普通というの中での、小型・QRP運用を提案です
HFを持ち運ぶという、ある意味斬新な取り組みでした
そんな中で、デジタル表示が採用されたMIZUHO製品は、たぶん本機だけだと思います
本体(マイクロホン、DCコード)以外、資料も何もありません(web上にも、ほとんど資料が見当たりません)

SB-8Xは、1981年に発売されたMIZUHO最後のSBシリーズ製品です
10W出力の7,21,50MHzのSSB / CWトランシーバーです
おそらくデジタルディスプレイを備えた唯一のMIZUHOトランシーバです
デジタル表示はデジタル時計を兼ねることができ、スリープタイマーと目覚まし時計機能の両方を備えています
前面にある2つの大きなボタンは、時計を設定するためのものです
デジタル表示はともかく、本機はアナログ設計によるMIZUHO特有のVXOを採用したトランシーバです
メインチューニングノブは、1クリックは20KHzで、その間はVXOコントロールにより対応する仕組みです
メインチューニングとは別にRIT機能と、ノイズブランカーを内蔵しています
9MHz台のクリスタルフィルタ(帯域幅2.4KHz)を採用、CW用のフィルタなど狭帯域化の対応はありません
最大800KHzをカバーします
送信出力は公称10Wです

以下、USのサイトにあった仕様を引用します
7.00-7.30MHz、21.00-21.45MHz、50.00-50.80MHz
モード:A3J(SSB)、A1
周波数制御:VXO
周波数安定性:23°Cで電源をオンにしてから60分後から30分あたり±100Hz。最初の60分間で±500Hz
電力要件:13.8VDC
消費電力:最大 送信2.5A、受信340mA
サイズ:165mm(W)x 62mm(H)x 312mm(D)
重量:3.4kg(結構重たい!)

送信機:
RF出力電力:10W(PEP)
スプリアス放射:7 / 21MHz:-40dB未満、50MHz:-60dB未満
キャリア抑制:40dB以上
不要なサイドバンド抑制:40dB以上

受信機:
受信方式:シングルコンバージョン方式
中間周波数:9.055MHz
感度:15dB S / Nで0.5μV未満
選択性:-6dBで2.4kHz、-60dBで4.8kHz
マイクのインピーダンス:600オーム
オーディオ出力:8オームで1W
ケース内部 底面

上のシールド部は、OSC/コンバート、RFミキサー
その右は、RF部で右端は送信ファイナル・フィルター部
下のシールド部は、PLL部
その右は、SSBジェネレータ/IF部です
中央に9MHzクリスタルフィルタが見えます
ケース内部 底面

シールドケースを外したところ
ケース内部 上面

ベーク色の2Pフィーダーコンセントは、内臓スピーカー接続用
その右は、電源部

  ケース内部 上面

シールドを外した下は、送信RF部
ファイナルヒートシンクは、小さなL型のアルミ板で、ケースに放熱させるようになっています
MosFET RD16HHF1に置き換えた状態で写しています
見るからに怪しい中華製の2SC1945
三菱のマークが菱でなくプロペラ状です
オリジナルは、センターがエミッタで放熱フィンもエミッタのはずが、このものはコレクタです
左から、B−C−Eです

2つオーダーしたところ、なぜか3つ届きました
ダメもとで使ってみることにしました
こちらが、中華製2SC1945を使用して実験中の様子
放熱用アルミ板の上に見えているダイオードは、ベースバイアス用のもの
オリジナルでは、このアルミ板の下側、すなわちTRの上に取りついていました
エミッタとコレクタを入れ替え、かつフィンを絶縁ということから配置を変えたものです
実際の出力は、各バンド3〜4.5W程度
こちらは、入手が容易な MosFET RD16HHF1を使って実験中の様子
オリジナルの基板パターンは、ベース側一か所をカットしただけで、新たにバイアス用5Vレギュレータと、アイドリング調整用のVRを追加
アイドリング300mAでセットしてみました
7MHZ/50MHz帯で、おおよそ9W
21MHz帯で、おおよそ6Wが得られました
消費電力は、中華製2SC1945と同程度で、出力はおおよそ2倍出ます
21MHz帯については、ミスマッチか?パワーが出ない分、出力側のトロイダルコアが結構発熱します
ファイナル電流は、7/50MHz帯同等以上に流れます(全体で2A程度)
  時計セット用のSWが、いわゆる経年変化で、気持ちよくタッチ動作ができない状態(ぐっと押し込むことでやっと接点がONになる状況)だったので、SWを交換しようかと思って、ここまで分解しましたが、合うSWがなかったので、そのまま元に戻しました
フロントパネル周りのお掃除ができました!?
フロントパネル

デジタル表示が目につきます
大きな押しボタンSWが時計用とは・・・・まさかでした!
デジタル表示部とメータとの間に見えるLEDも、時計のAM/PM表示
  リアパネル

M-Rは、7/21MHzと50MHzの2つです
φ6ジャックは、外部SPとCWキーの接続端子
3つ縦に並んだスライドSWは、タイマ設定用
右下のスライドSWは、SSB/CWのモード切り替え
送信パワーが出ない、時々リセット?不安定な動作をするという症状があったものを入手しました

送信については、予想通りファイナルの2SC1945がNGでしたが、今となっては入手が困難
半信半疑というか、怪しいのを前提に中華製のものを手配してみましたが、結果は予想通り・・・
結果として、現在入手の容易なMosFETを試してみることにしました
本当は、もう少しベース(ゲート)側の回路をきちんとしたいところですが、バンドSWに邪魔されて思うように変更ができないので(回路図もないし)、簡単に行える方法優先で置き換えをしてみました
見落としそうな注意点として、バイアス回路に電圧を加えるのは送信時だけ、常時加えると消費電力の増加と発熱が大きくなります
そこそこパワーも出るし、モニタする限り特別変な電波でもないということで、今回はこれで良しとしました(人様にお勧めできる改造内容ではありません)
後になって、2SC1972がジャンク箱から出てきたので、これを使ってみるのも手かもしれません

受信感度
こちらについては、高感度の一言です
S/N10dbが得られるSSG信号強度は、各バンド0.2μV
移動を中心に簡易なアンテナを使って運用をすることで考えれば、感度重視ということで十分な受信性能と言えそうです

7/50MHz帯については、バンドエッジ(上側)に行くと多少感度と送信出力が低下します
もっとも、7MHz帯国内は7.2MHzまでですので影響はありません、50MHz帯だけの問題です

PLL/デジタル部の不安定な動作
PLLのロックが外れるとは別に、なんだか怪しげな動作をします
リセットされるのではありません、突然10数KHz周波数が変化したり、500KHz前後の周波数表示となりダイヤルあるいはVXOによる変化に対応しなくなります
電源を入れなおすと元に戻ったりすることもあります
コネクタの接触不良、基板の取り付け不良(取付ビスの緩み)など清掃・修正をしました
そしてコネクタ半田付け箇所のワイヤ切れかかり2か所が見つかり、この部分の補修により不安定な状況はなくなりました

VXO
上記の不安定さが解消されたことで、VRのセンターは少しずれますが(「0」の位置が少し中心からずれる)、プラスマイナス12KHzの可変範囲が安定して得られました
このことで、20KHzステップの通常の運用については全く問題がないことになります
センターのずれ、あるいは可変範囲が狭くなったことについては、クリスタルの劣化によるものかな?
MIZUHOのVXOといえば、ポリバリコンを使っていると思われがちですが、本機はバリキャップの採用により、VRが使用されています

経年変化、劣化による不安定要素
VXO発振回路に使われている2SC1959が一つの犯人・・・温度変化に対して劣化(交換しました)、あとはVXOクリスタルそのものの問題・・・可変範囲、あるいは中心周波数に影響していると思われます
2020.06  JA4FUQ

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