Drake TR−7
35年前の製品・・・1979年製の古い無線機です
本機が登場した頃の国内は、FT−101EとかTS−520の全盛時代でした
アップコンバージョン、ハイレベルDBMの採用によるトップミキサ(RF増幅なし)の受信部、送信250W入力をオールトランジスタでと、当時の最新の技術を盛り込んだアマチュア無線機としては挑戦的なものではなかったかと思います
当時、Atlasが、SWANの構成/シングル・コンバージョンで同様の設計思想の製品を出していましたが(Atlas210x)、が業務にも通用する本機の作りには、ほど遠いものでした
コンパクトな作りは、DrakeのDNA テーブルから天板までわずか130mm足らずです

メインダイヤルの青パワーLED・・・・写真撮影には不向きなことがよく分かりました(眩しい)!

外部スピーカー MS7、パワー計 WH7 と、一緒に

清掃&ツマミ・メーター/アナログ表示周りを修正
電気的な部分の対応は、これからの状態
まずは、別電源から通電して様子を見ます
送信ファイナル部とそれ以外が別給電になっていて、これはテストにはうってつけです
バンドSW、あるいは送受切替リレーの接点接触不良が目に付きます
基本動作については、バンドによって不安定ではありますが、それなりに動作をしているようで、清掃、メカ・パーツの補修からスタートしました
しばらく使用していなかったもののようで、汚れが目に付き見た目はあまり良くありません
メイン・ダイヤルを回せばカタカタ音がします
なんとアナログVFOの窓が外れてダイヤルメカに引っかかって音を出していました
フロントパネルを取り外して清掃を開始
ツマミの掃除、あるいは飾りの欠落などに対応
35年選手ですから、そこそこのところでOKとしましょう
リアパネル
面白いのは、デジタル表示器を周波数カウンターとして使用できる切替SWと入力コネクタが用意されているところ(〜150MHz)
空冷ファン(スケールファン)が取り付けられるよう目隠しパネルとACコンセントが用意されています
RTTY、AM連続運用の時には、ファンの増設を・・・ですね
トップ
 大きな基板は、デジタル表示基板です
左 
  RFフィルタ部 上部には送受切替リレーが
 下部には、内蔵スピーカーが見えます

 黒い固まりは、、250W入力の送信パワーユニット
パワーユニットの下の半固定VR群・・・BFOの周波数調整をするものですが、設定によって音色がかなり変化します(キャリアサプレッションも)
今回は、サービス・マニュアル通りのfに調整しました
40MHzの基準信号から、IFシフト用、BFO用と、各水晶発振周波数調整が結構大変でした
デジタル表示基板下側に見える横に並んだ8つの穴は、周波数拡張用ボードの調整用/固定CHのf調整のものです(この下に、AUX−7を内蔵)


TOPから見たシールドケースの中(アップ)
各種ユニットが4段にわたって収まっています

このページでは、このユニットの上部にあるシールド板を外して写しています
本来の姿を写したものは、無線機歴史博物館のページにあります

4枚のうち、一番上に見えるユニット
  2ndIF−検波/AGC−AFアンプ部
  FastAGC時定数を決めるセラミックCがリーク
  Fastでは使い物にならない状態でした
  またローカットが過ぎているのでカップリングCを
  大きくしました
  値は、送→受時の立ち上がりの様子で妥協です
  このボードは、ダイオードによるリング検波でした
  Ver2では、DBM-ICが採用されているようで
  機会があれば、入れ替えて聞いてみたい・・・
  元気が出れば、スペースは確保できそうなので
  HQ−215で実績あるDBM検波にTryしてみます
その下が、1stIF・コンバージョン部
  ここの40MHzXtalが200Hzくらいずれていて、
  補正ができませんでした(そのまま表示誤差に)
  コイル2T巻き足して目的通りの周波数に
  またトランジスタの足はちょっとストレスを与える
  だけで簡単に折れる、劣化で動作確認も大変!
  フェアチャイルドの石たちですが・・・
  利得の低下もあり、いくつか交換しました
  (国産品の手持ちのもので代用しました)
フィルタはフル実装
  動作に問題ありません、クリスタルフィルタは丈夫
  メカニカルフィルタは、経年変化により劣化しがち
その下、右側がNBユニット(元々オプションだったかと)
ボトム
大きな1枚の基板は、各ユニットを接続する(載せる)マザーボードです
この写真に写っているマザーボードの上部にX−Lockを組み込む予定です
左見える黒い固まりは、250W入力の送信パワーユニット
周波数拡張ボードAUX−7を使って、WARCバンドに対応

露出を目一杯下げたうえでのストロボ撮影です
アナログダイヤルの位置が少しずれていました!
折角、AUX−7が内蔵されていたので、WARCバンド対応を行いました
このAUX−7ですが、デジタル表示基板下に収納されていますので、出し入れについてはちょっと面倒です
発売当初、本機のデジタル表示はオプション(DR−7)でしたので、構造はその名残と思われます
元々、0.5MHz 〜  と、1.0MHz 〜 の2つが設定されていました(受信用の設定)
説明ではプログラム・モジュールと称した、「TIのBC1206」と刻印のある14P DIP型をした「もの」の足を折ったものが2つ入っていました
Pin1をアノードに、その他のPinに対してカソード接続になるダイオードを13個内蔵したもののようです
必要なPinだけ残して、あとは折って使用・・・みたいです
ここは、ピンヘッダを用意して、小型のSWダイオードを使って代用しました
元々1.2.に入っていた2つの「もの」は、7.8.に移動させました

バンドSWの二重表示には、意味があります →
AUX PROGRAM スイッチ
1.に、10MHz帯(送信可)
2.に、18MHz帯(送信可)
3.に、24.5MHz帯(送信可)
7.に、0.5MHz〜 (受信のみ)
8.に、1.0MHz〜 (受信のみ)
となるように、AUX−7のプログラム・モジュールをセットしました
左写真2枚は、18MHz帯を選択したところです
AUX PROGRAMスイッチで指定した周波数が含まれるところにバンドSWが切り替わっていないと、きっちり警告灯が点灯します(ちゃんとバンドSWをセットしなさい!です)
NORMポジションでは、バンドSW白色表記のアマチュアバンドが選択できます
バンドSW黄色表示の間は、500KHz単位で切り替えて(UP/DOWNスイッチで)連続受信できます(アマチュアバンド以外は、送信できません)
以下、改造について
メーターフェイス
WEBを探せばあるもので、ホワイトラベルに印刷して張り替えました
指針が赤のままで、見づらいのですが、ここは我慢することにします
指針を白に仕上げる自信がありません(重くなりそうで)
左奥に見える小さな●は、X−Lockの動作表示LEDのために用意しました
メーター裏から透過して照らすつもりです
X-Lock表示
Lock時は、グリーン・・・実際は強力な「青」LEDのせいで青に見えます
UnLock時には、赤点灯です
高輝度LEDの採用で、ホワイトラベル越しの点灯ですが、識別に問題はありません
メーター裏
ベークのスペーサを加工して、この中にX−Lockの2色LEDを差し込み、透過して表から見えるようにと言う作戦です
後述しますが、高輝度LEDの採用で、今回採用した手法で、問題なく使用できるようになりました
青の配線で接続されているものが1WのパワーLEDです(レンズが見えますね、取り付けは糊付けです!)
元のBA9ソケット(PL用)は、電球だけ抜いてそのまま残しています
アナログダイヤル窓
非常に薄いフィルム状のもので、日焼けしたのかブルーの色が完全に抜け落ちています
そこで、窓は透明のアクリル板を切って用意
バックライトをパワーLED(1Wブルー)に交換することで、元のイメージを出すことにしました
メーターフェイス
こちらもパワーLEDで照明するよう白抜きのフェイスを用意したため、オリジナルのフェイスは取り外しました(交換しました)
左写真は、今回のリニューアル(修理&改造)のために交換した(取り外した)主な部品
先にユニット説明のところで記したように、受信AFアンプのカップリングCについては、立ち上がりの影響が出ない範囲で値を大きくしています
送信も、試しにOnAirしてみると、昔懐かしい音がするね・・・って言われましたので(そりゃ、昔の機械ですからね!)、やはりローカットが必要以上に効いていると言う判断からカップリングCを、少し大きくしました
あとは、プロダクト検波をオリジナルのリング検波から、お気に入りのDBM方式に変更するだけ・・・かな!?
左写真は、DBMによるプロダクト検波回路の組み込み実験中の様子です(バラック状態!)
元の回路(部品配置)はそのままで、必要に応じて線を引き出して実験を行っているところです
蛇の目基板に組み込んだDBM検波部分を、本来のユニットに組み込みました(この際、格好は無視!です)
言わば、ドーター・ボードのイメージです
これで、元通りにシールド板を取り付けることが出来ます
右に写っているビニル袋の中身は、ユニットから外した
・BFOバッファ
・リング検波
に関係したパーツです
これで、あとからボードを乗せるスペースが出来ます
BFOレベルを下げたことが、結果としてS/N(感度)向上に貢献した気がします
ここまでで確認したスペックについて(使用したPS−7は、AC100V接続 本来は、AC117V)
送信出力(50Ωダミー負荷、連続キャリア) 3.5 〜 21MHz帯 120W
  28MHz帯  80W
     ツートーン波形も、100Wpeak(出力飽和値)まで問題なし/14.2MHz
受信感度(S/N10dbが得られるANT入力電圧) 0.30μV オリジナル検波
0.25μV DBM検波
IC-756PROVと聞き比べて同等、もしくは本機の方が聞き取りやすいケースがある
最後に、X−Lock組み込みについて
こちらもWEBに色々情報がありますね
制御はRIT回路を少し改造して利用しますので、PTOそのものを触る必要が無く、苦労は収納だけになりそうです(いかに、高さを低くしっかり収納するか)
左は、実際に組み込んだ状態の写真です
本体底面、マザーボード上です
念のために、X−Lockとマザーボードの間には、絶縁シートを用意しました
底カバー側には当たっても電解コンデンサと言うことで、何も養生はしていません(当たってはいません)
上に伸びて見える3本の線は、動作表示用2色LEDへの配線です
旧型無線機を実用化しようとするときの最大の問題は、きっとこのVFOのドリフト対策でしょう
このX−Lockについても、DBM検波同様、信者になってしまいそう・・・
通信そのものに何ら影響を及ぼすことではありませんが、オリジナルより低域を出すようにオーディオ回路の定数を変更したものの、内蔵のスピーカーで聴く分には音圧は高くて良いのですが、中音が強調された狭帯域な音色に聞こえます
ここで312B4から取り外したスピーカー・ユニットがあることを思い出しました
ダンパーが弱った感じでイマイチしゃっきりしない・・・ということで交換したものです
このスピーカーが意外と上手くマッチ・・・口径が大きいだけ低音も出れば、ふんわかした音色です
音圧は少々低いのですが、まずまず好みの音色を得ることが出来ました(最近の無線機の音に対抗するようなものではありません!)
同じ4Ω系ではあるし・・・「もの」は持っておくものです
裸で置いて聞くわけにはいかないので、今度はスピーカー・ユニットの収納を悩むことに・・・
でもでも、やはりプロダクト検波は、DBMタイプに改造したい/HQ−215の改造経験から、ハイクォリティな音質が得られる期待が・・・

検波回路をDBM方式にして、音量レベルをオリジナルに合わせました(AM基準)
その結果、オリジナルの内蔵スピーカーで聴いても抵抗のない音質が得られるようになりました
先の外部スピーカーより音圧が高いし、場所を取らなくて好都合/歓迎すべき結果です
結果として、S/N(感度)も向上しました(先のデータどおり)
DBM検波に惚れ込んでしまいます! 

さて、フィルターを切り替えて聞いてみると、面白いことに気づきます
6KHz、2.3KHz、1.8KHzと切り替えてSSB電波を受信してみて、大きく受信音質が変化する電波と、意外と変化の少ない電波があります
特に差が感じられるのは低域を頑張ってお出しの電波・・・その方によって、大きく変化する場合と、そうでもない場合があります
アナログの受信機で、モニタする価値があるかも知れません(何が良いか悪いかではなく、違いがあることが分かる)

X−Lockの組み込み
電気的な配線は、本機の場合非常に楽です
RIT回路の改造も含め、マザーボード上の配線で全てが完了です
X−Lockボードをマザーボード上に上手に取り付ける、言わばメカ的なところさえ上手にやれば、後は問題ありません
最終的に気になったのは、動作表示LED
メーターフェイスにホワイト・ラベルを使用したもので、X−Lock付属のLEDの明るさでは、特にグリーン点灯は見づらいのですが、異常動作の時にチェックできれば良いくらいの使い方であるなら問題ないとしました
元気があるときに?高輝度LEDに交換もしくは、メーターフェイスのやり直し(予備にメーターを入手済み)をやってみるつもりです
2014.12  JA4FUQ
その後:
X−Lockの動作表示
高輝度LED(赤/青)に入れ替えて様子を見ました
点灯状態は、ホワイトラベル越しに問題なく確認が出来ます
むしろ光が漏れて、赤の点灯の場合、その赤がメーター・フェイスから透けて見えたり、メーター・フェイスの印刷の傷が気になるくらい
表示としては十分と言うことで、これで本件終了とします
2015.01
USのショップに、本体ケースの新品があったので、便に購入して入れ替えました
随分と見栄えが良くなりました・・・ 

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