| Ten−Tec Century22 Model579 | 
    
      |  3.5〜28MHz帯(30mBANDを含む6バンド)  CW 入力50W コンパクト・トランシーバ
 H:10.2cm × W:25.4cm × D:26.7cm 重量:約2.7Kg
 
 
 
        
          
            | 先輩のCentury21というマシンは、時々目にする機会がありましたが、本機は始めて目にしました 1984年の発売と思われます(QST 1985年5月号に紹介記事があるようです)
 余り目にしない・・・そんなに多くは販売されていないのではないかと想像されます
 後述しますが、なかなか興味深い回路設計がしてあります、ということで、つい手にしてしまいました
 先輩のCentury21からは、進化というか改善度合いが大きいと思います
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            |  | メインノブ/バンドSWの共通ツマミほか、 送信:パワー(DRIVE)
 受信:OFFSET 通過帯域 RFゲイン AFゲイン
 ボタンは、SWR(FWD/SWR切替) CAL 連続送信
 ジャックは、ヘッドフォンとKEY(フロント入力採用はGood!)
 電源SWは、AFゲインに連動(押してON,引いてOFF)
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            | メインダイヤルは、28.1MHzの状態を撮しています(28MHzバンドは、この1バンドのみ) 非常にシンプルなフロント・パネルです
 メインダイヤル1回転で約17KHzで、ダイヤル・リニアリティは、まずまずです
 100KHz台カーソルは、点灯したLEDが左右に移動します(ナイスなアイディア!)
 メータ照明は、消費電力と発熱を鑑み白熱球からLEDに変更したもので、ご覧のように、白っぽく照らしています
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            |  | こちらも、なんともシンプルなリア・パネルです 12V 5A の電源と、アンテナが用意できれば、すぐに運用が可能です
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            |  | フロント・パネルを外した中側 Argonaut以来、Ten-Tecお得意?の糸掛け方式による100KHz台カーソル表示の移動機構です
 カーソルは、縦長四角のLEDそのものです
 伸びきったゴム紐は、当初写真上のように短く引っ張ってごまかしていましたが、時間の経過でこの応急処置もNGになり、シリコンゴム系の適当な輪ゴムに交換しました(写真中)
 このカーソルですが、ダイヤル軸の円周×回転数による長さよりスケールの移動距離がはるかに短く、動滑車の理屈で移動の長さを縮めてあります
 もし、この機構を分解した場合には、糸のかけ方には要注意!です(写真下参照)
 
 
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            |  | フロントパネルと上カバーを外して前から撮したもの 機械的構造も、極めてシンプルに作ってあります
 自作などする場合には、大変参考になります
 この時点では、照明ランプはオリジナルの白熱球です
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            |  | 下側のカバーを取り外して撮したもの 左側が、バンド切替オシレータ、MIX、RFバンドパスAssy
 右側が、受信/コントロールAssyです
 VFOは、コリンズ/ドレーク/ヒース同様に、スラグ・チューン方式/PTO方式です(説明では、PTOと称してあります)
 左上アルミ・シールドの中は、LPF部です
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            |  左写真は、上側カバーを外して撮影
 | US製品の特徴(スタイル)でもあるのですが、ご覧のようにシャーシほか全てアルミニウムで作られています RF特性を取っているものでしょうが、経年変化も少なく、時間が経っても綺麗です
 この時点では、メータ照明ランプは、LEDに交換してあります(メータから少し離しています)
 大きな基板は、送信ドライバ/ファイナルユニットです
 おおよそ50W入力・・・20〜30Wの最大出力が得られます
 右上は、マーカー・ユニット(25KHz:元々オプション)
 その下の袋は、ファイナル・トランジスタの予備を入れて忘れないように?養生テープで貼って保管?しているものです!
 そもそもは、エレキー・オプションが装着される場所です
 関係して、背面に調整穴があり、目隠しがしてあります
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            |  | ボトムの様子 内蔵スピーカーには、しっかりしたグリルが取り付けられています
 フロント・パネル下に見える、なにやら黒いギザギザのあるものは、4枚上の写真(フロントパネルを外した写真)と見比べていただければ分かるように、カーソル位置の補正用のダイヤル(ツマミ)です
 
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            |  | サイドパネルには、CWサイド・トーンのピッチと音量が調整できる穴が開けてあります(中は半固定ボリューム) 
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      | 今回必要だったメンテナンスについて 入手時点で、おおよそ正常な動作をしていました
 気になったのは、カーソル移動の動きが、低い端で緩慢なこと、そして全体的に(特に高い周波数帯に於いて)ゴソゴソ変なノイズが入ること(VFOは、ビリビリと少しf飛びします)
 内蔵スピーカーの線も、端子のところで切れかかっていました
 カーソル移動については、引っ張っているゴムの劣化・・・伸びがありました
 VFO基板を始め、全体的に止めビスの緩みがありました
 これらを増し締めして、接点関係をクリーニングしました
 後は、お決まりのトラッキング調整です
 時代を感じる白熱球も良いのですが、発熱と消費電力の観点から、LEDに入れ替えました
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            |  Century21 Model570
 
 こちらは、AC電源を内蔵 1977年の発売?
 US製ではお馴染み?の左右対称デザイン
 | 左写真は、本機の先輩 Century21 です 基本という点では、大きな違いはありませんが、見た目もずいぶん変わっていれば、制御や表示関係も大きく見直され、変更されています
 Century21では、AGC回路の組込はなく、RFゲインコントロールは、MIX出力に単純な形でボリュームが入っているだけです
 Century22では、ANT入力のところ(DBM入力側)にアッテネータ方式で可変ができるようになっています
 また、AGCも内蔵・・・AF検出方式で、検波後のアンプ入力に対して、アッテネータ方式で制御するようになっていますし、このAGC電圧からSメータを振らせるアンプ回路も組まれています(Century21は、AGCもS表示もありません、
 メーターは、全体に流れる電流を測って表示しているだけです/送信出力換算イメージ?)
 またCentury22には、送信時に、オーバー・ドライブを表すALC/LED表示があります
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            | 電源を内蔵、あるいはメイン・ダイヤル表示機構については、Century21のほうがコストがかかっています が、電気的な設計あるいは使い勝手に関しては、Century22にずいぶん進化を感じます
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      | 【仕様】 3.5〜28Mhz帯 10MHz帯を含む6バンド(各バンド帯域幅:500KHz)
 受信感度:0.5μV S/N10db以上
 選択度:中心周波数750Hz 帯域幅200Hzまで可変 4ポール・オーディオ・フィルタ
 RIT(オフセット):±2KHz
 低周波出力:1W LM-380
 送信出力:20W以上  入力:50W MRF-475 プッシュプル
 電源:DC12〜14V 最大5A(実測、4.0〜4.5A)
 28Tr、24Di、7IC で、構成されています
 
 このシリーズの特徴は、なんと言っても受信回路にあると思います
 IF段がない
 最近のSDRに近い、いきなり検波(復調)です
 今や、携帯電話/無線LAN(Wi−Fi)等の受信回路の標準的な方式です(イメージ除去用、あるいは中間周波数関係の高周波部品の使用がない =>
      LSI化しやすい上、消費電力も小さい)が、1970年代で既に実用化していたと言うことになります
 その昔は、スーパーヘテロダインに対して、ホモダインと言われていました(受信する周波数と、内部の発振回路の周波数が同じなため)
 いわゆるダイレクトコンバージョンです
 とは言っても、最近のSDRのように、いきなり3.5〜28MHzに対して行うのではなく、一度5.0〜5.5MHzに落としてからです
 DBMによるトップ・ミキサ、バッファ・アンプ1段を通して、次のDBMでいきなり検波(復調)、です
 従いましてIF(中間周波数)というものは存在しません
 5.0〜5.5MHzのVFOをキャリアとして検波します
 キャリア(VFO周波数)、ここを中心にその上下で信号が聞こえることになります
 ちゃんと、送受でオフセットされるようになっています(オフセット周波数は可変可能)
 フィルタは、オーディオ・フィルタと言うことになります
 SSB受信も、その上下どちらかを聞くことで、LSB/USBを選んで聞くことが出来ます
 選択度は、オーディオ・フィルタの能力で決まることになります
 IFアンプがありませんから、IFノイズの発生はありません
 このことが一番よく分かるのが、オーディオ・フィルタで帯域を狭めるほどS/Nが向上する点です
 
 実測 & 実稼働
 14MHz帯での実測ですが、帯域幅最大で0.5μV入力でS/N10dbのところが、帯域を狭めると、0.1μV入力でS/N10dbが得られます
 同じことを28MHz帯で行ってみると 0.2μVでS/N10dbが得られました(帯域幅最大で0.5μV入力でS/N10db)
 7MHz帯でSSB受信をしても、ほぼほぼRFゲインを触ることなく内蔵AGC動作の範囲で、問題なく受信が出来ます(帯域幅は最大で)実に静かです
 
 マーカー
 これまた面白い・・ゼロビートに対して、オフセットした短点の連続した信号になっています(25KHz毎)
 
 もちろん!フル・ブレーク・インです
 
 非常に興味深い設計がなされた無線機のひとつです
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