ELECRAFT K-3/100
11.2H 28.2W 30.0D  3.8Kg コンパクトです
2007年の発売のようです
国内では、90年代後半からDSP(信号のデジタル処理)が高級機には採用されてきました
コンパクトでDXぺディションのようなハードな移動に耐えるということで
軽量であること、そして受信性能の良さが見込まれて、多く採用されたトランシーバの一つです

ゼネカバ受信を可能とし、DSPによりオーディオ中心周波数のシフト、通過帯域幅の可変などの機能を搭載
クリスタル・フィルタ(1stIF)までは、アナログ技術、そこからあとは、シフト、可変帯域、ノイズリダクションや復調は、DSPによるデジタル技術というように、アナログ・デジタルのそれぞれの特徴を活かしたバランスの良い設計がウリです

受信可能範囲:490KHzから30MHz、44〜54MHz
送信可能範囲:1.8〜54MHz  144〜148MHz対応オプションもあるようです
チューニング・ステップは、1、10、20、そして50Hz
VFOは、デュアル
SSBはもちろん、AM,FM,FSK、AFSK、PSK
  PSK、RTTY、そしてCWのデコーダ機能を内蔵
ノイズブランカ―・AFグラフィック・イコライザーを装備します
オプションで2台目の受信ユニットが内蔵できます
本機は、いわゆるベース・モデルです

受信動作ですが、一発でまず8.3MHzの1stIFに変換されます
選択幅ですが、このアナログ時点では、IFクリスタル・フィルタによって決まります
クリスタル・フィルタが9種類用意され、5個まで内蔵可能、デフォルトで2個(400Hz、2.8KHz)装備されるように説明されています
その後、15KHzに変換され、DSP処理・・・デジタル処理です
ここでのオーディ周波数幅は、標準で、CW時は400Hz  SSBモード時は2.7か2.8KHz巾となっています

送信出力
HF:0.1〜100W  50〜52MHz:85W  52〜54MHz:70W
RFスピーチプロセッサ、AFグラフィックイコライザ
帯域幅2.8KHz
と、記されています
パネルを見るだけでも多機能であることは想像できます
プログラマー向けのリファレンスまで用意があります
とてもとても機能の説明ができるほど使い込むことができません
そこで、もっぱら写真による紹介としました

下蓋を外して全体を写してみました
メイン基板は、1枚です
下蓋を外し、メイン基板の一部です
放熱が必要な素子についてはスペーサーを使って上手に下蓋に止めて放熱できるようにしてあります
上蓋を外し、ファイナル部を写しました
外部I/F部です
上蓋を取って、真上から写してみました
昔の無線機では考えられない部品構成です
送信機を思わせるのは、ファイナルのヒートシンクと冷却ファンくらい
リア・パネル側からフロント裏を写しました
ファイナル・アンプ部の右は、BPF部です
少し引いて、リアパネルを含め写してみました
クリスタル・フィルタ
本機では、5ポール 2.7KHz幅と、500Hz幅
の2個が、取り付けられています
合計5個まで実装できるスペースが用意されています
写真は、上蓋の裏です
内臓されたフィルタの情報がメモされています
同じ情報が、フィルタ本体にも記されています
想像ですがフィルタのセンター周波数のズレか?
アプリケーションで補正が行われているのではないかと

スピーカーは、ご覧のように大きなマグネットのものが採用されています
フロントパネルを取り外した本体
フロントパネルとの接続は、コネクタのみ
全体的に見ても、ケーブルでの配線と言うのは限定的です
Kitとしての販売もありますから、この辺りは意識してあると思われます
ケース(筐体)の構造にあっても、そのことがうかがえます
フロントパネルの裏面
2枚の基板で構成されています
フロントパネルは、このよう取り外すことができます 
Kitも、調整済の基板が用意されていて、あとは組立だけというKitですから、構造も組み立てやすい形が採用されます(ワイヤー配線がない)
これだけの液晶パネル面積で、多くの情報を表示します
VFO「B」ツマミもファンクション切り替えとして動作します
送信出力については、結構正確にコントロールされています
12Wまでは、0.1W単位
それ以上は、1W単位で110Wまで設定できます
10Wのモデルに、100Wのアンプを追加との様子が想像できます
DSP処理
これがなかなか良くできていて、シフトにおける中心周波数の調整と、パス・バンド幅の調整が単独で行うことができます
ノイズや混信の中で、微調して聞き取りやすい条件を探し出すことで、悪条件下で明瞭度を上げることができます
個人的には、とても気に入っています
デジタル技術を駆使した本機ですが、メイン・ダイヤルの回転させる重さの調整は、アナログのまま・・・原始的と言っても良いでしょう、フェルト2枚を挟んで、あとはツマミの取り付け位置によって重さを加減します

最近の上位機種というものを手にしたことがないので、これらとの比較はできません
本機より、はるかに優れた能力を発揮するものがあるのかもしれません(きっとあるでしょう)
DSP処理の登場により、これまでのアナログ処理(コリンズ75A-4以降のBFOとVFOを同時にシフトする手法、あるいは2つのフィルタを見かけ上重ねて使って行う手法)によるIFシフト、パス・バンド・チューニングとは、一線を引く混信除去対応が出来るようになりました
本機が登場した頃、すでにIC-756PROVやTS-950SDXなど、DSP処理を使った無線機は登場していたわけですが、この時点で他社で採用されていたDSP処理にと比べても、その処理技術が、一歩先んじているように思います
非常にS/N良く受信できます
この点は、AGCをうまく使っている気もします
混信除去については、先に記したようにオーディオ段のデジタル処理で、アナログ手法の同等の処理結果とは、全く別物に感じますし、例えばIC-756PROVと並べていろんな条件で試してみましたが、明らかに本機のほうが了解度の向上度合いが大きい結果が多いです
昨今の無線機は、DSP処理を通り過ぎてSDRとまで進化していますので、ここで感動していることはフツー、当たり前のことになっているのかもしれません
そうであっても、小型・軽量という点においては、本機の優位性は高いでしょう
2025.10   JA4FUQ

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