YAESU FT-DX100
かの有名な One O One FT-101(1970年発売)のベースとなったモデルです
ドライバ、ファイナル以外は、オールソリッド・ステート DC-DCインバータを搭載 DC12V運用もOK
YAESU初のSSBトランシーバと言いたいところですが、FT-50と、よく似た感じのFT-100が存在
TRIOからも、TS-500が僅かですが先行発売されました(こちらはVFO/マーカー以外、真空管)
が、本格的なというか、きちんと実用出来るトランシーバの登場は、この(1968年)頃からです

こちらは、多分1968年の発売ではないかと思います
おそらくですが、輸出用に企画された製品だと思われます
QSYいただいた方にお聞きしても、付属のマニュアルは英文のみだったそうです(本体と一緒にいただきました/挟まれていた保証書は、もちろん日本語! 昭和43年9月のスタンプ)
当時、¥118,000・・・そうそう誰でもが手にできる金額ではありません
QSYいただいた方は、TOYOTAパブリカ(カローラ発売前の大衆車のパイオニア/空冷800ccで、$1,000 Car と言われたもの)に積んで、モービル運用をしていたそうです
   $1,000=¥360,000/固定レートの時代
当時、数少ないHFモービル運用者ではなかったかと想像します
いくら半導体化が進んでいるとは言え、50Wの本機は12V13A/送信時ですから、パブリカにとっては結構負荷が重たい状況であったのではないか、と想像されます

国内でのSSBの普及は、1967〜8年頃から加速したと思います
YAESUからは、FL-100B/FR-100B、その下位にFL-50/FR-50を発売
トランシーバとして、FT-50が発売されました
そして400ラインの登場です(FT/FR/FL-DX400)
FT-100については、現物を見たことがありませんが、FT-50と同じ頃の登場です(おそらく、そんなに数は市場に出ていないと思います)
特に真空管のマシンでは、筐体内の温度変化も大きく、VFOの安定度が実用上大きな問題でした
また、FT-50のような安価なシングル・コンバージョン・タイプのものは、ハイバンドでは当然高い周波数を発振させるわけで、周波数安定度は低下します(US SWAN社の構成を真似たものですが、物理的な強さが違います!)
構成のほとんどを半導体化した、ダブル・コンバージョン(コリンズ)タイプのFT-100、あるいはこちらのFTDX100の登場で、発熱量の少ない実用的な、すなわち本格的なSSBマシンの登場となりました
この後は、大阪万博が開催された1970年に、同じくYAESUから発売された FT−101 が、世界のアマチュア無線/HF世界を席巻しました
まさに、世界の One O One となりました
この頃になると、トランジスタは100%NPN型、MOS型FETも登場しています
※FT-100 
HF〜430MHz帯をカバーする、バーテックス・スタンダードより1999年に発売されたモデルではありません、八重洲無線ではない社からの発売のせいか、過去にあったものと同じ型式が使われています

さて本機ですが、不動品と言うことでお譲りいただきました
電源ケーブルは付いていなかったので、別途手持ちのコネクタでACケーブルを作成し、電源系に基本的な問題が無いことだけを確認した後、通電してみました
無事に通電でき、なんと音量は小さく歪みっぽく、信号強度(レベル)は大きく変化しますが、IFノイズ音は聞こえ、マーカー信号も受信できます
ヒーターSWをONにして、SSBモードで送信すると、アイドリング電流も規定の50mAにセットできます
もしかしたらDC運用時に、何か別の問題が生じていたのかも知れません(この方は、きっとモービル運用しかなさっていなかった/今回は、DCではテストしていません)
長期間の保管で、SWやボリューム、そしてリレーに接触不良問題山積です
また使用半導体が、PNP型がほとんど、もしトランジスタに問題があれば、その入手に苦労することは容易に想像できます
その他機構部品についても、その時代のものが採用されていますから同様です
ただ保管条件は良かったようで、シャーシなど金属部に錆の発生等ほとんど無く、極めて程度が良い状態が保たれていました
頑張って、現役復帰を目指すことにしました

懐かしいメイン・ダイアルです
FL/FR-DX400(初期モデル)を長年愛用しましたが、そのダイアルと同じです
1回転50KHz
外周にあるノブは、ダイヤル回転の重さを可変出来るもので一杯絞めれば、ダイアル・ロックです
送信ファイナルは、6JM6x2本
6JS6より一回り小型です
(左写真参照)

その分、ファイナル部分はコンパクトに仕上がっています

プレート電圧500Vで0.2A 入力100Wを得ています

プレート電圧は、380Vをブリッジ整流
SG電圧も、120Vを半波整流して150Vと、無理の無い電源設計、といったところです
シャーシ上面

非常にコンパクトにまとめられています

構造強化のためのシャフトが2本採用されています
固定CHのクリスタルを取り付けるLアングルも構造強化の役を担っています

各穴を塞ぐテープは、前オーナーの配慮

クリスタル・フィルタが大きく見えます
きっとHC−6/Uタイプのクリスタルを6個使ってあるものでしょう
シャーシ底面

ワイヤーハーネスを使って、整然と配線してあります

配線の綺麗さはYAESUが国産の中では一番でしょう
配線を追いかけるのは大変ですが・・・・
リアパネル

スピーカー出力は、懐かしいフィーダーコンセント
本体にスピーカーの内蔵はありません

DC-DCインバータ用TRのヒートシンクは見当たりません
リアパネルに直接取り付けることで放熱器として使用してあります

ファイナル部の強制空冷用FANオプションはありません
凹凸が少なくシンプルに見えます
VOXに関係する調整VRは、PTT-VOXの切替SWも含め、リアパネルに配置されています

DC-DCの放熱について、電源トランスの周囲をアルミ板で囲ってあり、このものもリアパネルに固定されているため、一緒に放熱の役を担っていると考えられます

基板は、ガラスエポキシ基板が使われています
この点は、FT-101にもそのまま継承されています

ファイナル・プレート同調VCは、ロードVC同様、減速機構無しです

発熱源は、ここに見える真空管3本のみです

ファイナル部は、もちろんパンチングメタルで塞がれています(写真は取り外して撮しています)

ドライブ/プリセレクタ同調機構は、一般的な3連VC方式が採用されています
RF同調機構は、μ同調方式ではなく一般的なVC方式です
アマチュアバンド専用と言うことでしょう(一方101は、ゼネカバを目指してμ同調方式を採用)
DRAKE 4シリーズと同じ発想・考えのようです
セパレートは、ゼネカバ対応でμ同調機構を採用、トランシーバは、アマチュアバンド専用で通常のVC方式を採用、です
今回のトラブルの原因は、そのほとんどがこの写真の中に!?

AFファイナル・トランジスタの片側がNG・・・この際ですから2本とも交換しました
2SB200は思ったより簡単に入手できたのですが、交換作業はとてもやりにくかったです(コの字型の放熱板が取り付いているやや大きめのメタルの頭が2SCB200)

もう一つの大きな原因、リレー接点の接触不良です
トランスとReg回路の下に2つ並んで取り付けられています(取り外した状態で撮しています)
これが最近目にしない形状のもの、その昔パーツ屋をしていたときには良く目にしたものなのですが・・・
最悪?は頑張って接点を磨きます!

バンドSW、クラリファイアVRほか、接触不良を起こしているものが多く、一生懸命清掃!です
その上で、トラッキング調整です

BAND(MHz) AM
30% 1KHz 変調ON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
CW/SSB
RF信号のON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
3.6 5.7μV 1.5μV
7.1 2.2μV 0.6μV
14.2 1.4μV 0.28μV
21.2 1.2μV 0.2μV
28.6 1.5μV 0.3μV

Lowバンドに何か問題が?? 実用上は問題無さそうですが、要精査です
時間が出来たら、取り組んでみます

BAND(MHz) CW送信出力
3.5 70W
60W
14 50W
21 50W
28 50W


散々探した結果見つからず、リレーの入手を言わば諦め、接点の大掃除・・・接点洗浄液とやや厚めのペーパーを使って一生懸命掃除しました
接点が焼けたと言うより、長期保管で酸化した、そう思われます
なんとか、ハイバンドに於いては、オリジナルのスペックどおりの動作を安定して得ることが出来たようです
受信音などは、懐かしいその当時のYAESUの音がします(ハイトーンで、固めの音色)
FT−101より約1割軽い、13.5Kg 持った感じも軽く思います
移動には少しでも軽い方が・・・50Wと言う点も合わせて、上手くまとまったギアでは無いかと思います
2018.07   JA4FUQ

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