National  HRO−500
5KHz〜30MHzをフル・カバーするオール・ソリッド・ステート受信機です

その昔(1965年頃)、QSTや
73 Magazine の広告で良く
目にした写真です

左から
NCX-A AC電源
NCX-5 トランシーバ
VX-501 外部VFO
NCL-2000 リニア・アンプ
HRO-500 受信機

MICは、なんとなく、Electro
Voice製に見えます
Collins以下、この頃の無線
機と一緒に良く写っているよう
に思います
結果的に、この写真に写っている全てのものを、手元に置くことが出来ました
オリジナルのままは本受信機のみで、その他は一部改造などもありますが、生誕50年を経過した今でも一応全て動作します
NCX-5のご紹介は、こちら
US National社 最初のオール・ソリッド・ステート受信機です
1964年の発売  1965年の広告では、$1,295   当時は固定レートで、1$=¥360 
当時の大卒初任給の平均は、¥24,000と言われていますので、どう見ても一般サラリーマンが手にできそうな金額ではありません
余談ながら、NCX-5 は、$685 とあります(トランシーバの2倍の金額がする受信機、ですね)
AM、SSB、CW(RTTY) 5KHz〜30MHzをフル・カバーします
AC115/230V、DC12V 両方に切り替えて運用出来ます

HROシリーズが一目で分かるメインダイヤル(PWダイヤルと呼ばれています)
Collinsより先進、材質もアルミダイキャストで重厚です
そのダイヤルの外側は、1回転50KHz、内側は10KHzです
5KHz〜30MHzを500KHz巾で60に分けてカバーします
VLFを受信対象にしてあります(オプションで、5〜500KHzをカバーするプリ・セレクタがありました)

〜4MHzまではアップ・コンバージョン方式を採用(多分世界初!?26MHzを加算)、1stIF 26.005〜30.000MHz 2ndIF 2750〜3250KHz 3rdIF 230KHzのトリプル・スーパー構成です
4MHz〜30MHzは、1stIF 2750〜3250KHz 2ndIF 230KHzのダブル・スーパー構成です
VFOは、2980〜3480KHzを発振します
HFOに関して、Phase-Lock手法を採用、今では、PLLで一発処理というところを、全てアナログ手法で処理してあります
1975年に、世和興業からDRAKEブランドで発売されたSSR-1が、似たような操作方法(簡易な方法/Phase-Lockではない・・・1MHzおきにビートを受信)を採用していました
いろんな面で、当時最新の技術を惜しげなくというか、コストをかけて使った受信機であることには違いありません(配線についも、プリント基板を使うこと無く手組です!)
IF帯域巾は、0.5KHz・2.5KHz・5KHz・8KHzの4段階 パスバンド・チューン ノッチ・フィルタ機能を搭載しています

フィルタ類は全てLCということで、フィルタが壊れてて修理不能みたいなことにはならないであろうと、古さを気にせず入手したものです
重たいです・・・・32lbs 約15Kgあります
鉄シャーシが堪えています
ここまでのもの作りなら、アルミシャーシで作って欲しかった!ですが、シールドの半田付けなどの理由があってのことでしょうか?

さて、入手してしばらく放置していました
入手した時点で、十分古い?ことは認識できていましたので、そうそう簡単には動作は得られないであろうと覚悟を決めていたので、ここまで手が付いていなかった、というのが本音でした

安全のため?DC12V入力に背面で切り替えて、通電
PL点灯で、約700mA、消灯で、約200mA(広告に記載の通り)と、流れる電流の値を見る限り、大きな問題は無さそうです
が、ウンともスンとも言いません・・・覚悟どおり、です

まず、ダイヤルのコギングが気になるので、メイン・ダイヤルを分解、そして再組立することにしました
その結果、ダイヤルのコギング問題は解決しました

フェーズロック・ランプは、消灯しますから、HFO基本動作はOKそうです
AFボリュームからあとの、AFアンプ動作にも問題はありません
しかしIFノイズすら聞こえません
もしかしてミュート回路に問題か?その前にオシレーター関係をチェックするところから作業を開始
リアパネルに、それぞれ取り出しが付いているので、このチェックは楽です
VFO、26MHzオシレータ、BFO こちらには問題はありません、ちゃんと出力は出ています
が、HFOには出力がありません
ゴソゴソやっていると、バンド条件によって、出力が出るケースもあります
ゴソゴソ中に、突然マーカーのビートが一瞬でしたが聞こえました
が、再現しません

実は、この取り組みの前に、やっかいな修理の依頼を受け、手がけていました
それは、JRC NRD−505 で、受信音が歪むと言うことで、ユーザーはAGC動作を疑ったようですが、一番の原因はAFプリアンプICの故障(もちろん、コンデンサのリークほかの原因も)でした
これで解決と思って、エージング・テストをしていて気付いたのが、受信信号が途切れたり、ビートの濁るトラブルが、時々発生する・・・その原因が、なんとプッシュスイッチの接触不良・・・この結論に至るまで、電気的な問題を疑って、エクステンション・ボードが無いので、回路から疑って、ボードを抜いてはいろいろ部品交換をして、差し込んで動作を試すということを時間をかけて進めていたのですが、最後に分かったことが、この接触不良、自身で呆れました!!
しばらく使用することなく、保管されていたもののようです

この経験が直前にあったもので、長期間使用していない本機について、電気的な問題より機械的な問題を疑ってかかることにしました
これが当たって、HFO同調VCの配線、RFトランス〜バンドSW間配線、その他ケーブル半田付け箇所の不良、Trソケットの接触不良(基板を使わない配線で、全てソケットを使用)ほか、色々な機械的問題を発見することが出来、最終的にはきちんと受信が出来るようになりました
シャーシをひねると感度が変化するなど、非常に分かりづらい症状も出ていました

RF/オシレータ関係は、色々気になって調整しましたが、IFは触りませんでした(フィルタ回りはうかつに触りたくない)

例によって、回路を読んで説明を眺めるスタイルでの取り組みです
人が作ったものだから、何とかなるだろう・・・精神、です
が、これだけ複雑だと実物との突き合わせが大変です!
HROが一目で分かる特徴的なダイヤル
PWダイヤルと呼ばれています

そして本機の特徴、Phase-Lockを使ったHFOの出力調整と連動したバンド表示
バンド表示は、縦方向に回転して表示します

動作には関係しませんが、プリ・セレクタ周波数表示板の一部が照明ランプに焼かれて黒ずんでいます
長い時間同じところを受信していたのでしょう
周波数表示板そのものも、熱で少し変形しています

写真は、7100KHz SSBを受信中です
PWダイヤル
分解中の一場面

アルミ・ダイキャストの採用で重厚です

メイン・ノブも重量があります

パネル刻印「500」の下に見える赤いボタン状のものは、Phese-Lockが外れた時に点灯するランプです
シャーシ上部写真
シールドケース2つの中身は、シンセサイザ関連です

シャーシが、鉄製と言うことで、どうしても劣化が目に付きます

レイアウトは、真空管式に近く、信号の流れが一目で分かる構成です
RFトランスや、Tr番号が刻印されています
VFOにおいては、リニアリティ調整用に外側にステーターが用意された独特のものが使用されています

見にくいですが、横向きVCの右端・・・VCフレームの外側にリニアリティ調整用ローターが用意されています

NCX-5のVFOにも同様のローターが用意されています
トラッキングは全てバリコン連動です

バンド切替を含め、糸掛け/ギヤと、その駆動方法も色々
メカの組み合わせです

シールドを止めているビスは、オリジナルではありません
本来、右に写っている、頭が六角のビスのはずです
シャーシ底面

ご覧のように、配線は全て手組みで行われています
プリント基板の使用はありません

リアから

真空管式のものを見ている感じがしますが、オール・ソリッド・ステートです
ソケットには、真空管に代わり?TRが刺さっています!

バンド表示は、バンド切替によって、違った表示位置を表に見せるような構造です
すなわち表示される場所が、バンドSWの位置毎に変わります
黒のドラム状のものが、バンドを表示する部分の内幕です

リアパネル(下段)
オシレータの出力は全て出してあります(RCA-R)

角型多極コンセントには、本機をリモコンで操作できる各種端子が用意されています

AC115/230V、DC12Vの切替SWや、VLFアンテナ接続端子(RCA-R/アップコンバージョン対象入力)も、メインのM-Rとは別に用意されています

AFについては、600Ωの平衡出力も持っています

AC接続コンセントは、昔のフィーダー・コンセントがそのまま使えました

実際に使用してみて

周波数安定度に大きな不安はありません、さすがです
ダイヤル・ロック・・・本当にメカでVFOの軸を掴むのですが、ちゃんと実用になります(しっかりした強度!)
読み取り精度も±0.5KHz以内に収まっています(アナログ・ダイヤルなのに凄い!)
なんとも落ち着いた受信音です、真空管式の受信機以上に、落ち着いて静かに聞こえます
大信号入力については、AGCだけでは頭が飽和する感がありますので、アッテネータの世話になります(−10、−20、−30dbと、3段階選択可能/AGCスイッチに連動と、発想がおもしろい/実用的!)
またフィルタに切れについて、最近のマシンには劣りますが、この緩いところが落ち着いて聞こえる音に繋がっているのかも知れません
ノッチ・フィルタ、パスバンド・チューンなど、混信除去機能もちゃんと機能します

バンドチェンジは、少々面倒です
大きく5つに分かれたバンドSWで選択、シンセサイザ・チューン・ツマミを回して、希望する周波数表示が現れるまで回す、そしてプリ・セレクタ・ツマミを回して感度(ノイズ)最高点に合わす(シンセサイザ・チューンと、プリ・セレクタのツマミ操作順は逆でもOK)
シンセサイザがLockしたかどうかは、ボコボコ音で判断できます(プリ・セレクタを合わせると聞こえます!)
ここからメインダイヤルの操作(選局)、となります
もちろん、あらかじめ合わせておいても良いです
忙しいバンド・チェンジには向いていません!
周波数 AM
30% 1KHz 変調ON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
ビート受信(CW/SSB)
RF信号のON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
 250KHz 75μV
 500KHz 75μV(VLFレンジ)
スペック 25〜200μV/5〜500KHz −−−
 500KHz 3μV
 1.0MHz 2.3μV
 3.6MHz 1.7μV 0.7μV
 7.1MHz 1.7μV 0.8μV
14.2MHz 1.8μV 0.8μV
21.2MHz 1.3μV 0.5μV
スペック 2μV以下/0.5〜30MHz 1μV以下/0.5〜30MHz

適当な(サービス・マニュアル無視の独断!)調整の結果です
バンド上下で感度差を無くするためのトラッキング調整と、20MHz以上のハイバンドに関係する
シンセサイザ関係の調整を丁寧にしてやることで、ほとんどスペックどおりの動作を回復しそうです
とりあえず、7MHz帯 40μV入力で S9 に合わせて、今回の取り組みを終了としようと思います

なかなか興味深い受信機です
HROが2台手元にあるのですが、何も手が付いていません
電源から作る必要があって・・・言い訳です!
長年、これらHROで培われたアナログ技術の良いところ・・・メカ的な丈夫さ、アナログVFOのリニアリティの良さ、LC構成により得られる優れた選択度、一方で先進的な半導体化への取り組みや、Phase-Lock、あるいは一部とはいえ、アップ・コンバージョン方式の採用など最先端技術を多く取り入れています
その一方で、配線はと言えば、全て手組み・・・プリント基板の採用はありません
お金をかけた(手間をかけた)受信機と言えます
各オシレータの出力は、外部に取り出せるようになっていますので、送信機を自作するというのも、おもしろそう(IF230KHzならPSN方式ででもやってみたい!)ですが、昨今の電波法改正で、自作送信機での免許交付の敷居はずいぶん高くなってしまいました
学究無線・・・本来のアマチュア無線はどこに行った!?と嘆きたくなる実態を思い出しました!
2018.05   JA4FUQ

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