算数科支援のポイント
生きる力を育む授業に向けて

 生きる力を育む教育をつくっていくポイントは、自己学習力とともに、豊かな人間性や人間関係(社会的生活力)も育つように配慮することだと考える。
  ◎自己学習力【自己目標決定力、創造的問題解決力、自己評価力】
  ◎豊かな人間性や人間関係(社会的生活力)「自己の感情を自覚しコントロールする力、
    他人の気持ちに共感し協力し合う力」
 以上のことから、支援のポイントを第4学年の小数のかけ算で考えてみる。

支援の実際  【(小数) x (整数) の意味と計算の仕方】
授業の概要(2単位時間) 支援のポイント
T 先生は、同じかさの牛乳が入ったびんを□本もっています。
  全部でどれだけになるでしょうか。
C 先生、何gずつ入っているのですか。
C □もわからないので、とけません。
T そうですね。では、問題を作りましょうか。
C 2gが4本では何gでしょうか。0.2gG4本では
C 2.3gが12本では、 2/5gが14本では、
T このうち、勉強していないのはどれでしょうか。
C 0.2gが4本で、2.3gだ12本では・・・です。
T 易しい順に並べると、今日の問題は?
C 「0.2gが4本では何gでしょう。」が、いいです。

T では、問題を図にかいて考えていきましょう。
  (しばらくたって)

    0.2g 0.2g 0.2g 0.2g
  |−−−|−−−|−−−|−−−|
C 先生かけました。
T 式はどうなりますか。
C はい、0.2の4倍だから、0.2 x 4 になります。
T このかけ算は、どのように考えればよいのかな。
  今までに勉強したかけ算と比べてみましょう。
C 今までに、2 x 4 、20 x 40 など勉強しました。
T 今までのかけ算とどこが違いますか。
C かけられる数が、小数です。
T どんな小数ですか。
C 0.何の小数です。
T では、めあてをかいてみましょう。
めあて(課題)
 かけられる数が、小数(0.何)になっているときの、
かけ算の仕方を考えよう。               
   (子どもたちが、自力解決する。)


T では、どのように考えたのか発表してもらいましょう。
C1 はい、ぼくは、線の図に0.2が4こあるので
  0.2+0.2+0.2+0.2=0.8で、0.8gです。
C2 わたしは、0.2g=2dgだから、2 x 4 で8dg 
  これを直して、0.8gになりました。
C3 直すのだったら、0.2g=200mg、200 x 4で、
  800mg=0.8gでもできます。
T なるほどよく考えましたね。他にありますか。
C4 はい、ぼくは0.2は0.1が2こだから、0.1の
  2 x 4 で、0.2 x 4 =0.8として0.8gです。
T みんなよく考えていますね。どんなところがよかったですか。
C C1君のやり方は、たし算なのでみんな分かると思います。
C C2,C3さんたちのやり方は、今までのかけ算を使っているので、
  分かりやすいと思います。
C C4君のやり方は、0.1を単位にすれば、今まで勉強した
  整数のかけ算と同じように計算できるので良いと思います。
T どの解き方も、良いところがありましたね。
  では、どの解き方でも良いのでしょうか。
C どれがよいのか分かりません。
C どれでもよいと思います。
T では、めあてをみんなで読んで考えましょう。
   (めあてを読む)
T 気が付いたことはありませんか。
   (しばらく話し合う)
C 先生、小数の他の問題で、考えればよいと思います。
T では、どのような問題がありますか。
C 0.8mg x 9 ではどうですか。
C 0.8を9回もたすのはめんどうです。
C 0.8mgを直すのはよく分かりません。
C C4君のやり方なら、このようなときでもできます。
T なるほど、すばらしいことに気が付きましたね。
  では、もっと別の問題でも、一番よいと考えたやり方で計算できますか。
C はい、できます、
   (別の問題で確かめる)
T では、今日のまとめをしましょう。
まとめ
小数(0.何)のかけ算は、どんなときでも簡単に出来る
ので、0.1を単位にして、整数のかけ算をするやり方が
よい。

C どんなときでも簡単に出来るやり方が分かりました。
  みんながんばったと思います。
T 次の時間はどんな勉強がしたいですか。
C 小数は、0.何だけではないので、何.何の小数のかけ算の仕方を勉強してみたいです。
・問題や課題が見つけられるようにかかわる。
【自己目標決定力】


@様々な問題を作る。

A既知の問題と未知の問題とに分ける。
B未知の問題の中から今日の問題を決める
 (@Aを大切に、Bは当初は指導者から)


・式化を急がない。
 問題の構造を線分図
 (テープ図、情景図可)
 にかいて、演算決定が自力でできるようにする。







・今までの学習との違いから
 課題を決める。
  (一般化しておく)
【自己目標決定力】

【創造的問題解決力】
「感情をコントロールする力」
「自己解決の喜び」










・児童一人一人の学習履歴等もふまえ、共感的に認め合えるように関わる。

「共感する力」









「協力する力」
・一般化(数学的な考え方)に着目し始めた発言。
・考えを深めていくための鍵となる問題、子供からでない場合は、指導者からの提示してもよい。
 算数のよさを感得できる場面でもある。


「考えを深めた喜び」


・めあてにそって、数学的な考え方(一般化、簡潔化)でまとめる。


【自己評価力】

・次の学習への方向づけをしておく。
【自己目標決定】

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