同時進行の道徳授業 3年生
          TOSS岡山サークルMAK 吉田真弓

 5月4次  「おじいちゃんのめがね」 1−D 正直・誠実

前日まで他の教材を考えていた。
 前日に,3年合同ドッチボールを行った。
 その授業のあと,「2組はずるをしている!」と,男子数人がたいへんな憤りを示した。
 抗議の内容は,いくつかあったがその中に
  1 ○○君は何度も当たっているのにでない。
  2 ○○君が手にかすったときに,「あたっていない」といいはり,2組の他の子
   多くも「あたっとらん」「セーフセーフ!」と大声で騒いだ。 
  3 ゲーム中に,挑発してきた。
  4 ずるして勝ったくせに(子どものことば)そのあとに教室まできて自慢したり挑    発してきた。
    と言うものがあった。
 そこで,急遽予定を変越して,「正直」についての授業を取り上げることにした。
 自分の体験とリンクして考えることができるのではないかと考えた。

1 資料を読む。「おじいちゃんのめがね」

説明 和美さんは,誰も見ていないからわからないと思って,めがねを壊したこと
   を正直に言えなかったんだね。だれだって,しかられたくないですよね。(うなずく子多数)
失敗したことをごまかしたり,かくしたりしてしまうことがあるものです。
ばれなければ・・・とおもいますからね。
指示 ここでちょっと問題を出します。5もんだします。
   ノートに1〜5番まで番号を書きなさい。○か×で書いて行きなさい。

 ノートに○か×を書かせていく。

<問題>
@「病は気から」ということわざがあるが、本当である。
A人間は怒ったり、悪口を言ったりすると、病気や早死にを引き起こす毒が出る。
B人間は心のもちようで病気を防ぐことが出来る。
C世のため人のためになる善い行動をすれば健康で長生きできる。
D「あいついやなやつだ」「意地悪してやろう」などと、悪いことを想像するだけで
 も体に悪い影響がある。

自分でどちらを書いたかを挙手させて聞いていく。私の学級では次のような結果となった。
    ○   ×
@ 19人  4人
A 18人  6人
B 21人  3人
C 21人  3人
D 18人  5人

<説明3>答えは@○、A○、B○、C○、D○、すべて○です。 

 意外な結果。どこかで聞いていたのか?以前担任したクラスに兄弟が居る子がなんだか知っているように○を書いていた。聞いていたのか?

発問 ところで心はどこにありますか?
てで押さえてご覧なさい。

大半の子が胸を押さえる。数人が「あたま・・・?」「ここは心臓だから違う・・・?」
などとつぶやく。

説明 実は心はここにあります。(黒板に絵を描く)
   人間の心というのは、脳と大きな関係があります。
人間は良いことをすると、脳の中によいホルモンが出てきます。ホルモンとは、体の
調子を整えていくものです。エンドルフィンという名前のホルモンが脳の中に出てき
て、よりよい脳にしてくれるのです。小さい頃、お腹が痛くなったりしたとき、家の
人に手で触っていてもらうとだんだんと良くなってくることってあるでしょう。その
時も、このエンドルフィンというホルモンが脳の中に出てくるのです。簡単な病気な
らこれで治るとも言われています。しかし、悪いことをしているとどうでしょう。う
そをつく,ごまかす,友だちをいじめる、人のものを盗む、悪口を言う、しつこくか
らかうなど悪いことをすると、脳の中にノルアドレナリンという悪いホルモンが出て
きます。実際に悪いことをしなくても、「意地悪してやろう」と想像するだけでもこ
のホルモンは出てきます。このノルアドレナリンは、自然界では蛇の毒と同じぐらい
強いと言われています。そんな悪いものが脳の中にちょっことだけ出てくるのです。
ちょっことですからそれで、病気になることはほとんどありません。でも、このよう
な悪いことを毎日毎日続けていたらどうなるでしょう。毎日、毎日、少しずつ毒が出
てくるのです。体に良いわけがありませんね。一度出てしまった毒はそのままですから
繰り返していると勉強が覚えられなくなったり、しまいには病気になったりします。
怖いですね。
だから大人たちは悪いことをすると、怒るのです。「悪いことばかりしていると悪
い人になっちゃうよ」とか「うそつきは泥棒のはじまり」とか言いますね。それも、
悪いことをしていると本当に困ってしまいますよという意味なのです。

真剣な顔をして聞いている。このように事実を伝えるときに必ず見せる顔である。事実を伝えて
いくことの大切さを改めて感じる。

説明 悪いことばかり考えていたり、やったりしていると、本当に病気になっちゃ
うのです。ストレスがたまり過ぎて、胃に穴が空いてしまった大人もいます。また、
悩んで悩んで髪の毛が抜けてしまった小学生もいるのです。
指示 毒がでそうなことは何でしょう。1個書けたら持ってきなさい。

 黒板に書かせていく。
同様に「薬がでそうなこと」も書かせる。

説明 二人の人の話をします。
アメリカにアル・カポネというギャングがいました。アメリカで最も悪いことをした
と言われている人です。たくさんの人を傷つけたり、人の大切なものを奪ったり、時
には人を殺したりと、たくさん、たくさん悪いことをしました。
アメリカの警察は必死になって、このアル・カポネを捕まえようとしました。そして
ついに、このアル・カポネを逮捕する日が来ました。
さてみなさん、逮捕されたアル・カポネは、なんと言ったと思いますか。
なんと、アル・カポネは、「俺は、アメリカのために一生懸命働いてきたんだ。その
俺をなぜ逮捕する。俺は何も悪いことはしていない。」と言ったのです。人を殺したり 人のも
のを盗んだりしたのにです。
こんなアル・カポネもはじめから悪い人だったわけではありません。子どもの頃は、
みんなと同じよい子だったはずです。
たぶん子どもの頃にちょっとした失敗をしたのでしょう。もしかすると、うそをつい
てしまったり,友だちの持っている消しゴムがほしくて、ついとってしまったのかも
しれません。
アル・カポネはその時、きっとドキドキしたでしょう。「ばれたら、たくさん怒られる。と考えたで
しょう。ですから、先生に聞かれたときも自分が取ったんだということを正直に言わなかったの
です。アル・カポネはうそをつきました。
この時、アル・カポネの心の中に、少し悪い心が育ちました。「悪いことをしても、
黙っていればわからない。」と思ったんですね。だから、その後も人のものを盗んだり人を傷
つけたり、悪いことをたくさんしてしまいました。
そして、そのたびにうそをつきました。その内に、アル・カポネはだんだん悪いこと
をすることが平気になってきてしまったのです。
最後には、自分のしていることが悪いことかどうかわからなくなってしまいました。
人を殺したり、たくさんの人を傷つけたりしたにもかかわらず「俺は悪いことは何に
もしていない。」と言うような人間になってしまたのですね。

 静かに間を取った後に、もう一つ話をします。

同じアメリカに、ジョージ・ワシントンという人がいました。ジョージ・ワシントン
も子どもの頃、一つの失敗をしました。買ってもらった斧の切れ味を試したくて、お
父さんの大切にしていた桜の木をつい切ってしまったのです。
ジョージ・ワシントンは考えました。「きっとこのことをお父さんが知ったら、もの
すごく怒られるに違いない。」と。
しかし考えた末に、ジョージ・ワシントンは素直にお父さんにこのことを謝りました
するとお父さんは、なんと素直に謝ったジョージ・ワシントンをほめてくれたのです
自分のやったことを素直に反省できたワシントンをえらいと思ったのですね。
ジョージ・ワシントンは、それからも自分の失敗やいたずらを素直に反省するように
しました。
実は、このジョージ・ワシントンは大人になってから、アメリカの大統領になった人
なのです。

 そして、最後に次のように言います。

さて,みなさんは,どちらの人になりたいですか。
授業の感想を書きましょう。

反省
  これまた定番の授業だから,子どもたちの顔をみて語ることができた。
  今回の課題は,感想をじっくり書かせること。
  時間をかけておちついて書かせた。
  ・ノートを作ったせいもあり,集中してノートに向かっていた。
  ・時間をとって励ましながらかかせると,2ページ3ページ書いている子も多かった。
  ・感想には,アルカポネのことが多くでてきた。印象強かったようだ。
・今までの自分を素直に振り返っていた子がほとんどだった。

・脳の話は,結構インパクトがあるはずなのだが,やはり最後の話は授業を印象づ ける。よく考えなくてはならない。
・時間が10分ほどオーバーした。やはり脳のはなしだけで1時間ものか。
アルカポネとワシントンの話しは必要か?
・正直のみならずたくさんの示唆をしたかったが,それは達成できたか?


前の時間へ               次の時間へ

    道徳トップへ
    
HPトップへ

                 TOSSランドへ