TRIO(現KENWOOD) 9R−59D SM-5D
この写真のモデルは、1969年発売の9R-59DSです
私の開局した頃・・・・1966年(昭和41年)の新製品でした(9R-59D)
当時、国民的?ヒット商品となっていたた9R-59の後継機として発売されました(二番煎じを狙ったのかな?)
相方の送信機も、TX-88Aから、TX-88Dへと世代交代です
入門機として、従前と同じくキットが採用されました、コスト面への配慮が大きいと思われます
横ダイヤルの9R-59から、一変したデザインとなりました
この時代は、既にSSBの普及も始まっていて、プロダクト検波器が内蔵され、簡易ながらメカニカルフィルタも採用されました
構造では、この頃よりプリント基板が採用されだし、本機もそのひとつで、プリント基板を採用したある意味再現性の高いキットとなりました
特に説明の必要がないと思われる、有名なというかスタンダードな製品です

SSBを意識したといっても、IF455KHzの高一中二のシングルスーパーヘテロダイン方式は、9R-59と変わっておらず、ハイバンドの実用性においては疑問のある製品でした
ひとつの例として、この後ご紹介するプリコンですが、旧型のSM-5では、コンバータとして動作するのは14MHz帯以上となっていますが、このシリーズ用に用意されたSM-5Dでは、7MHz帯からコンバートできるようになっています(なのに価格は下げてあります!?)
7MHz帯の受信でさえ、怪しい・・・という認識があったものと想像されます
シングルスーパーヘテロダイン方式の9R-59Dを、1st-IF 3.5〜4.0MHzのダブルスーパーヘテロダイン方式にバージョンアップできるオプションが、SM-5Dという位置づけになったものと思われます
 折角なので、当時のHFフルラインで

シャーシ上面
プリント基板が採用されています
キットとしては、ずいぶんな進化でしょう
プリント基板が採用されていますが、信号の流れというか、真空管の配置は先代の9R-59と全く同じで、設計的にも、9R-59をそのまま引き継いだ感があります
真空管はすべてMT管です
9R-59では、整流管はGT管(59Dは、シリコン整流器)
Qマルチが廃止され(選択度の向上はメカフィルに振って)、プロダクト検波を採用
結果、真空管は9本から8本に減っています

 
プリント基板部のアップです
IF〜AFまでがその対象です

手前がIF部
東光のメカニカルフィルタが採用されています

奥が検波〜AF出力です
プロダクト検波、BFO、AFアンプの順です


 
シャーシ下の様子です

中央にはコイルパックが鎮座しています

プリコン SM-5D
プリアンプ+クリスタルコンバータとして動作する製品です
IFが455KHzのシングルスーパーヘテロダイン方式で、14MHz帯以上のハイバンドを受信することは、かなり厳しいことで、本機の採用で、ダブルスーパーヘテロダインとなることにより、状況は劇的に変化します

クリスタルコンバータの、クリスタル発振をさせなければ、すなわち周波数変換をしなければ、単なるプリアンプ・・・こういう設計です
ミキサー出力〜バッファアンプに、同調回路はありません
言い方を変えると、簡易なRF設計です
当然ながら「すっぽ抜け」等、問題はあります
シャーシ上面
極めてシンプルです

RFアンプ  6BA6
MIX/OSC  6BL8
バッファアンプ  6BA6

コンバート対象は、7〜28MHzの4バンドです
この点が、SM-5との違いです(SM-5は、14〜28MHzの3バンドです)
プリセレクタとしては、3.5〜28MHz帯の5バンド全てに対応します(SM-5も同じ)

 
この頃は、+B電圧をSWで切替するのは当たり前の設計で、本機の場合 コンバータとプリアンプとに切り替えがそのようになっています
何が起きるか・・・ロータリーSWの接点が焼けて(溶けて)接触不良が発生します(本機もそういう状態に陥っていました/もちろん修復しました)

スタンバイ操作も、リレーで+B電圧の入り切りというのが普通に行われていた時代です

 
電源トランスはシールドしてあります
トランスのコスト減策かな、です

 
底面です

お決まりの調整穴が用意してあります

RF回路は、ちゃんとシールドした後でないと、きちんとした調整はできません
言い方を変えると、ケースに収めないと満足なシールドが得られない構造ということです
プリコン単体の性能
9R-59/59Dあたりと組み合すには、良さそうです(もともと、そういう目的の商品)
が、ちょっとまともというか上位の受信機と組みわせると、増幅はするがノイズも信号に負けず増えることで、S/Nの低下・・・Sメータの振れは大きくなるが、感度は全く上がらない、むしろ聴感上の明瞭度は落ちる、という結果になります
同じ時期の同社SSB用受信機JR-500Sと組み合せても、このことがよく分かります
余談ながら、このSM-5Dに表記のある周波数単位は、MCです

9R-59Dと59DSの違い
真空管8球と、整流も含め7ダイオードと全く同じ構成です
発売時期は、59Dが1966年4月、59DSが1969年11月となっていました
正価は、¥19,900と、¥22,800です
回路図を見比べても、ヒューズが1Aから2Aに変わったくらい(消費電力45Wは同じ)で、あとは全く同じに見えます
パーツNo.も同じ・・・細かく言えば、シリコンダイオードの型式が変わっているくらい
あっ、周波数表示が、MCからMHzに変わっていました!!

2022.01   JA4FUQ

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