TRIO 9R−59 + DELICA
本件も、槌より柄の方が重たくなったような取り組みです
DELICAプラグイン・コンバータなど結果的に集めてしまい、そうなると親受信機が欲しいよね、ということから始まったお話です
当初は、IFが1650KHzのハリクラ SX−140を使おうかと思っていたのですが、ここはやはり国産品でなどと考え直したもので、結果的にこの9R-59を選択してしまったというのが実情です
デザイン・時代的には、海外に展開したUS軍関係者(家族など軍属も)が、USの放送を聞くために用意されたようなロングラン・ヒット商品であるハリクラ S-38シリーズも良いかなと一度は思ったのですが、当然のことながら?CW/SSB受信の対応がなく、新たにBFOの組み込みなどしなくてはいけません
ここはオリジナル性を優先して、この選択になりました
余談ながら、私の使用した最初のメーカー製受信機は、9R-59Dでした
一時は世間を席巻したと思われる通信型受信機です
TRIO(現JVCケンウッド)より発売された、かの高名な?9R-59の登場は1960年、この時代のこのクラスの受信機に於いては、まだプロダクト検波は採用されておりません
60年代前半は、まだまだSSBは特殊というか、ほとんどのハムは手にすることの無かった電波形式でした(私の体験では、本格的なSSBの普及は1668年くらいから)

さて本機ですが、高一中二のシングルスーパー方式を採用した当時としては言わば標準的な通信型受信機です
IFは455KHz、IF帯域巾を狭帯域化するためにQマルチという回路が採用され、SSB/CW時には、このものをBFOとして発振させ、ビートをかけて聞くというものです
折角の狭帯域化を図るQマルチなのですが、SSB/CW時には、別の働き(BFO)をさせますので、帯域巾は狭く出来ません
SSB/CWはおまけの旧二級/電話級向けの受信機と言うことになるのでしょう

それでも本格的な通信型受信機と言うことで、キットと完成品と両方の形で発売されたのですが、当時としては大ヒット商品となりました
その後、上位機種にJR-60(プロダクト検波採用/Qマルチと独立したBFO/50MHzコンバータ内蔵)、そして後継機として9R-59D(完成品は、9R-59DS)が発売になりました
9R-59D(S)では、メカニカル・フィルタ(安価なタイプ!)とプロダクト検波の採用と、ちょっと新しい時代を感じる設計となりました

余談のコーナー
9R-59の先代は、9R-4(J)であろうと思われます
漁船への搭載など、耐震という観点からGT管を使用することも想定してあったようです
当時の回路図を見ると太字でGT管、細字でMT管の名称が記してありますし、シャーシにも大きなφ30のソケット穴が用意されています
Qマルチの搭載はなく、BFOが搭載されています
シャーシ・レイアウトは、9R-59とほぼ同一・・・9R-59が、9R-4(J)をそのまま踏襲したものと思われます(9R-4(J)のシャーシに、Qマルチのサブシャーシが追加されただけのイメージ)
現に、9R-59に搭載の電源トランスには、 MODEL 9R-4J の表示があります
9R-42(J)は、550KHzから30MHzを4バンドで連続カバーする9R-4(J)とは異なり、アマチュアバンド専用に設計されたと言うことで、1.6〜3.5MHzが抜けています(VCの使い方が異なる)
9R-4 完成品、¥33,600(送料共)  球無しキット ¥16,200(送料共)と、手元の資料にはスタンプが押してあります(時期によって、価格が異なるのかもしれませんし、販売業者の押したスタンプかも知れません)
ブランドは、TRIOが採用されていますが、会社名は春日無線工業となっています

9R-59は、完成品¥33,000 球無しオールキット¥18,500と、パンフレットに記載があります
短期間だったと思いますが、9R-59の弟分として、高一中一の構成で、Qマルチ/ダイヤル・フライホイール無しの、JR-200と言う製品が発売され、球無しのオールキットが ¥14,500だったと思います
9R-42と9R−59の違い・・・電気的には混信対策にQマルチの採用、そして横行きダイヤルの採用
少なくともダイヤル・デザインについては、ハリクラ S38シリーズの変遷と似てます(真似たと言う点があるのでしょう)
その後、9R-59Dの登場で見た目のイメージは全く変わってしまいました
プリント基板の採用という、製作上の変更も大きいものでした


さて、2台を入手していいとこ取りとしました
片方は、ほとんど無改造、片方は色々と手が加えられていました
外観ひとつとっても、ツマミが純正ではないとか、足がないとか、それぞれです
この時代のことですから、色々と改造というか、いろんな情報を集めては、少しでも良い結果が得られるように自分でやってみるということは、当然のことです
給料(初任給)の数ヶ月分をはたいて買ったメーカー製受信機ですから、出来ることがあれば、少しでも良くしたいという希望は、全員にあったと思います(そうそう新しいギアが買えるような状況にはない!)
当時のCQ誌は、自作で挑戦した方の記事や改造記事が一杯ありました
やる気をそそられる記事が、毎月の楽しみでした
SSBの普及と言うことで新しい技術がどんどん紹介された時代でもありました
ダイヤル・スケール表示
裏側にプリントしてあるスケール
いとも簡単に消えます
うかつにこのガラス裏面を触らないことをオススメします

ホコリをしっかり被っていましたが、ホコリを払うと、シャーシは、まずまず綺麗な部類だと思います(鉄シャーシですから)

シャーシ上部
アンテナからRFアンプ、ミキサー オシレータと来て、Uターン IFアンプが、RFアンプの傍を通って、検波 AFアンプという流れです
AF出力管と、電源トランスとの間に、整流管が配置されています
その奥に見えるのは、AF出力トランスです
8Ωルートには、ヘッドホン端子が入りますが、4Ωルートはそのまま出力されています
4Ωスピーカーとヘッドホンは同時稼働可、ということになります
Qマルチは、ミキサー管とVCの間、狭いところに別シャーシとして用意され、メイン・シャーシに取り付けられています
シャーシ内部

きっとこのものは完成品として販売されたものでしょう
L型抵抗と、チューブラ・コンデンサには時代を感じます

Qマルチの電源供給部分だけがなぜか変更されていました

電源トランスの下に、新たにアルミ製L型のステーを用意
ここに100V10Wのツェナー・ダイオードを取り付けました
今回は横着をして、115Vラインで100Vに安定化という策としました(多少、全体の利得が下がることになるかも知れませんが、真空管はきっと長持ち!?)

その電源トランスですが、 MODEL 9R-4J と記載があります
安定度

IFゲインを絞るだけでも、CW/SSBの検波に問題が・・・BFOがドリフトします
B電圧を測ってみると、IFゲインを絞ると、見事に電圧が上昇します
最低でも105Vラインを定電圧化しなければ、ということで、写真のようにツェナーダイオードによる安定化を行いました(ツェナーダイオードの都合で、100Vに)
スタビロは沢山持っているのですが取付スペースがない・・・ということから、10Wのツェナーでの対応となりました

下中央に見えている最新の抵抗!?は、24Vリレー駆動にQマルチ+B電圧から降圧させるためのものです
ラグ板の足数が不足しましたので交換しています
なぜIFゲインの調整が必要か、それは検波回路に原因があります
本機では、IF初段に455KHzのビートを信号に重ねて入力することで、CW/SSBの検波を行っています
当然、この455KHzの信号で、AGC電圧が検出されます
と言うことは、感度が低下する方向になりますので、ここはAGCをOFFにして(MVC)受信をすることになります(強い信号なら問題にならないケースもあります)
そこで必要なのがIFゲインの調整と言うことになります
プロダクト検波のように、IF以降でビートをかける方法であれば、この心配はいらない(漏れには注意が必要ですが)と言うことになり、結果として受信感度も上がると言うことになります
いずれにしても本機のCW/SSB受信は、旧式/簡易的なものと言わざるを得ませんその時代のスタンダード!)
後述しますが、IFゲインを絞ると特にSSBの強い信号受信時に歪みが気になります(IFアンプの直線性に問題か?)
左上、IFTのすぐ下に見えるのが今回追加したリレーです
Qマルチに供給される+B電圧から降圧してDC24Vリレーを動かしています
こちらの点は、基本的な問題です(製品化の時に、気付かなかったのか不思議)
Qマルチ機能の搭載に際して、9R-59においては常にQマルチ回路が接続され、BFOとして働かせるときに切り離すようになっています
通常、常に回路が接続されているため、1stIFTの調整さえまともに出来ません
もちろん、その分感度も低下します
100μV入力でS9などは、夢物語となります
この解決には、Qマルチを使用しないときには、切り離しを考えないといけません
今回は、Qマルチを働かせるときのB電圧から降圧してリレーを駆動して、この役割を持たすことにしました(ノーマル・オープン)
ふと、あとから発売になった上位機種であるJR-60の回路を見て気付きましたが、こちらではちゃんと、通常Qマルチを切り離すようになっていました

RF系のトラッキング調整はコツがあります(慣れというか・・・)
500KHzから30MHzまで連続受信という設計のせいでしょう、アマチュアバンド専用の受信機、例えばSX−140に比べると、電気的な性能は見劣りします
が、Qマルチ回路の切り離しを行ったことで、かなりの改善が見られました

7MHz帶
CW/SSB受信も、ちゃんと出来ますが、周波数安定度については、ちょっと気になる・・・・SM−5(プリコン)が3.5MHzを出力(第一IF)にしていたこともうなずけます

カタログ表記は、10μV入力でS/N20db以上(AM/10MHz)  S9=100μV

AMは、Qマルチ OFF(リレーで、接続OFF)
CW/SSBは、MVC(AGCは、OFF)
BAND(MHz) AM
30% 1KHz 変調ON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
ビート受信(CW/SSB)
RF信号のON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
1.6 2.0μV 1.0μV
3.5 1.7μV 0.5μV
2.0μV 0.8μV
10 2.0μV 未計測
14 2.0μV 1.0μV
21 3.5μV 1.5μV
28 未計測 未計測

1600KHz 受信/DELICAプラグイン・コンバータ親機に

本来、DELICAの出力は、1500KHzですが、9R-59側の事情などで1600KHzに

DELICAコンバータが色々手に入ったもので、親機が欲しい・・・と言うところからつい手にした9R-59です
ここからが、もうひとつの本題、です(前置きが、ずいぶんと長い!!)

 DELICAプラグイン式コンバータ
三田無線研究所 往年の憧れ先というか、国内無線黎明期の中でも先駆者ともいえるところであったと思います
1924年(大正13年)の創業です(2009年に製造業を廃業)
元々は音響メーカー/ラジオや電蓄を作っていたところと聞いています
1953年頃からアマチュア無線分野の製品・・・同じラジオでも通信型受信機あるいは関連製品を発売されたものと思われます
その社の製品・・・DELICAブランドで販売されましたが、基本に忠実で、シンプルな構成で高性能、一言で表せばこんな製品群だったと思います
手作りの良さみたいなところもあって、信頼性の高い製品をだしていました(ダイヤル刻印は手書きとか)
少なくとも1960年には、9R-59などと一緒に雑誌CQ誌に広告がありました
CS-6(通信型6球受信機)については、9R-4より一足早く1953年には発売されたようです

HAMバンド・プラグイン式コンバータです
電源を入れ、ダイヤル照明ランプが点灯した状態で撮しました
ビスは止めていません(まだ完成とまで言えないもので!)

本来、CS-6という自社受信機を親機に、
高い周波数帯のより実用を目指したものでしょう
BCバンド5球スーパーを通信型受信機に大変身・・・みたいなことを可能にする装置です

選択度はどうしようもありませんが、3.5〜50MHzの6バンドを、1500KHzに変換するものです

すなわち、BCラジオを、ダブルスーパーと同等の感度と安定度が得られるよう変身?させようとする装置です

アンテナ・トリマの上に追加されたツマミは、RFゲイン調整ボリュームです
9R-59のIFゲイン調整では、強いSSB信号の音が歪むので、ここに感度調整ボリュームを追加しました
こちらは、回路図どおり+B電源にチョークトランスが入っています
取付フレームがいかにも後付けで怪しい?ですが!

またダイヤル照明用パイロットランプが装備されています

上写真は、このものです
こちらは、+B電圧回路にチョークトランスが入っていません
電源トランスは、SEL製
多分オリジナルは、TOPブランドだと思われます
酸化皮膜抵抗は、チョークトランスの代わりの抵抗が劣化していたため、私が取り付けたものです

ヒューズホルダも壊れていたので新調しました

ちょうど真ん中あたたりに写っている青い線が、L型抵抗器の中に差し込まれているのですが、これで局発信号を容量結合させています
2台入手しましたが、ご覧のように時期によって少し内容が違います(キットで組み立てた方のセンスの違いがあるのかも)
手作りっぽくて良いです
バンド切替SWを使用せず、プラグイン構造がとってあります
無駄な配線長の発生や、互いの干渉など起きない、ある意味理想的なRF空間が得られることになります
オシレータのミキサーへの結合も、リード線をL型抵抗器の中に差し込んで小容量結合させるなどアマチュアライクとも思われる方法が採用されています
ダイヤル糸とドライブ・シャフトは、こちらで交換したものです
シャフト径は、オリジナルより一回り細く、結果的に減速比が大きくなっています

アンテナ・トリマの上には、オリジナルには無いRFゲインVRを取り付けています
単純に、RFアンプ/6BA6のカソードに入れただけのものです
手元の資料(時期不明)では、
球無し完成品が¥12,800  球無しキットが¥10,500  真空管一式が¥3,000
プラグインユニットが、1バンド当たり¥2,000 で販売されていました
真空管:6BA6(RF) 6AK5(MIX) 6C4(OSC) 6X4(RECT) OA2(REG)の、5本構成

得られた感度など、ご紹介スペース
 DELICA VHF用 50/144MHzコンバータ
セルフコンバータで、各VHF帯を7MHzに変換します
入手できたものは、VR150が組み込まれていました
通電した状態で撮しています
ダイヤル上の方が、ほんのりと昼光色・・・
ビスは上の2本だけ止めています
こちらのダイヤルスケールには、具体的な周波数は書かれていません
きっと、ユーザーが手書きするのだと思います

ノブは、
チューニング
アンテナ・トリマ
バンド切替(6/2m)
モード切替(電源、スタンバイ、受信)
の4つ

一見、真空管が2本しか見えませんが、シールドを被った12AT7の向こうに、6BQ7Aの頭が少し見えています
ダイヤル照明ランプが付いています

メインVCの後ろにくっついているエアトリマは、私が取り付けたものです(補正用)

本機ですが、整流管はダイオードに交換されており、定電圧放電管が追加されています

電解コンデンサ(ブロックコンデンサ)は、手持ちのものに交換・・・なにせ元付いていたものは完全に容量抜けで、+B電圧は規定電圧の半分にもなっていませんでした

こちらはプラグインコンバータより減速比が大きくなるように、細いダイヤルシャフトが採用されています
こちらもオシレータとミキサーの結合は、双三極管を活かして内部結合と、極めて合理的です
144MHz帯に於いては140MHzに近い周波数を自励発振させて使うわけで、そのコイルたるや、リード線に毛が生えたようなもの・・・・それでもダイヤルスケールのVC容量の大きな半分は使用できません(目的より低い周波数でしか発振できない・・・私のやり方に起因することかも!?))

中央付近にその144MHz帯受信用の局発コイルが写っています(50MHz帯局発コイルのすぐ左側)

トランスに重なって写って見えるのが整流用ダイオードです
コンデンサがアウトだったり、大型抵抗器の足の半田がポロッと取れたり、さすがに経年を感じます
が、直せばそれなりに動作・・・シンプルなものだからこそ、と言う気がします
144MHz帯受信用の局発コイルには少々手を焼きました(何が正しいか不明なため)
ワンターンあるかどうかのリード線にしか見えません!?
手元の資料(時期不明)では、
球無し完成品が¥21,000  球無しキットが¥17,500  真空管一式が¥2,700
真空管:6BQ7A(RF) 12AT7(OSC/MIX) 6X4(RECT)の、3本構成
オプションでVR150(定電圧放電管/GTベース)が設定されていたようです(標準回路には記載がありません)

得られた感度など、ご紹介スペース

2018.07   JA4FUQ

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