Drake 2-C

 送信機 2-NTが手元にありますので、ペアの受信機である2-Cを入手しました
R-4発売の翌年、1966年の登場です
当時の日本では、TRIOより9R59Dが発売になりました
この時代の技術力というか商品力の違いが、いかに大きいか・・・です
デザインもですが、先代の2-Bとは異なり、ケース構造も4シリーズと同じようになっています
おおよそ 290W x 160H x 230D 重量 約6.2Kgと、コンパクトです

相方の2-NTと一緒に
本機の構成
先代の2-Bと同様の周波数構成
高1中1のトリプル・スーパー・ヘテロダイン方式です
1st-IFが、3.5〜4.1MHzですので、3.5MHz帯はダブル・スーパー・ヘテロダイン方式となります
ヘテロダイン・クリスタルの内臓は、3個
7・14・21−28MHz帯用です(21/28MHz帯は、差し引くか加えるかで、同じ25.0MHzのクリスタルを使用)
それ以外の周波数帯については、バンドSWでの対応ではなく、サイドパネル面にあるAUXソケットを使って対応するようになっています
1st-IFである3.5〜4.1MHz それを2nd-IFである455KHzへ、そして3rd-IFの50KHzに落として必要な選択度を得ます
真空管の使い方が2-Bと変わっています、というか半導体化が進められています
真空管は5本(2-Bは、10本)、電源(整流)、バンドオシレータ、BFO、検波、AGCアンプ、AFについては、半導体化されています
伴って、消費電力も40Wから30Wに軽減されています
発売当初の回路図では、RF増幅段は、12BZ6となっていますが、入手したものは6BZ6でした
その他の真空管は、すべて当初どおり12V管です
本機ではパス・バンド・チューンではなく、パス・バンド・セレクト・・・内部で固定、帯域幅を選択するのみ
4.8/2.4/0.4KHzの3段階です(2-Bでは、3.6/2.1/0.5KHz)
BFO周波数も、内部で固定されていますので、LSB/USBモード切替SWのみで対応できます
このモード切替は、BFOの発振周波数ではなく、2nd-IF 455KHzから、3rd-IF 50KHzに変換するオシレータの周波数を切り替えています
こうすればモードの違いで周波数カーソルを動かす必要がないわけで、合理的に考えられています
この考え方は、4シリーズでもずっと踏襲されています(いわゆるモノ・カーソル)
2-Bにあっては、モード切替の代わりにパス・バンド・チューニング・ツマミで合わせる必要があったのですが、この点を省略というか簡単にしたということでしょう(操作の簡略化)
ダイヤル・リード・アウトは、2-B同様、10KHzです
オプションで、ノイズブランカーとマーカーのユニットが搭載できます
2-B同様に、外付けでQマルチのオプションがありました(2-CQ:外部スピーカーに内蔵されたものです)
2-AQ、2-BQ ほぼ同じに見えます(2-Bのページの最後に、2-AQをご紹介しています)
メイン・ダイヤルですが、おおよそ1回転50KHzです
ケース内部
シャーシですが、上面はかなり痛んで(錆びて)いますが、動作に直接の影響はありません
真空管が減っただけシャーシ上には余裕があります
ダイヤルは、糸掛け駆動です
電源トランスからフロント・パネルにかけて、シャーシ上は何もありませんが、シャーシ下にはサブボード(基板)が配置されています
半導体化された部分です(シャーシ下写真参照)
ケース内部
2-Bにあっては、シールドしてあったRF-VC部分が2-Cでは、裸です(VC丸見えです)
バンドクリスタルの横に見えるTrは、AFファイナル段Trです
クリスタル3個で5バンド?
3.5MHz帯は、1st-IF
21MHz帯と28MHz帯は、25MHzのクリスタル1個で対応(VFOダイヤルは逆になります!)
すなわち、7、14、21・28MHa帯用で3個のクリスタルでOKとなります
以下の2つのオプションは、シャーシ上に配置できるようになっています
左4Pソケットがマーカー用
右4Pソケットが、ノイズブランカー用の接続コネクタです
外付けオプションとしては、外部スピーカーに内蔵されたQマルチプライヤー&ノッチフィルタがあります(Drake 2-CQ)
リア・シャーシに接続用コネクタが用意されています
シャーシ下の様子
シャーシ下面は、上面と違って綺麗です
50KHzパスバンドセレクタの様子が2-Bとは異なっています
関係して、帯域幅のセレクトSWの中(芯)がモード切替SWになっているのですが、約φ3.5の軸に対して通常の約φ6用のツマミが採用されていて、軸サイズの違いをビニル製の軸カバーのようなもので調整してあります
これがきちんと切り替わった気のしない、何とも言えない切替感覚の原因となっていましたので、ベークライトのスペーサを加工して軸アダプタ的なものにしたところ、良い切替感覚が得られるようになりました
こんなところにヘッドホン端子と、AUXバンド追加クリスタルのソケットが用意されています
正面向かって左サイドパネルです
スライドSWをAUX側に切り替えることで、AUX_XTALが有効になります
ビス1本が欠落しているのは、ご愛敬!
21〜28MHz帯の感度が得られない原因
バンド切り替え、正確に言えばRF側のコイル切替がきちんとできていないところにその原因がありました
最初は、単に接点の接触不良かと思ったのですがそうではなく、軸に付いた接点を動かす板の位置がずれて不適切なことが原因でした
こんなことってあるんですね!?
しばし悩みました!
左写真中央の部分です
 
当初の感度不足
Mix−VFO 12BE6の劣化 そして、ハイバンドの問題は、バンドSWにその原因がありました

本機は、半導体化を進める中で、AM検波にトランジスタを使い、プロダクト検波はダイオード2本によるものです
実際に受信をしてみると、2-Bと比較してS/Nが良くなっています
特に、AMのS/Nがずいぶん良くなった感があります
そして、AM/SSBともに、音色が非常に良くなっています
当時、2-Bユーザーが、こぞって2-Cに乗り換えたのではないでしょうか

最終調整後の受信感度  S/N10dbが得られるSSG信号強度
 AM 30%変調ON/OFF 
帯域幅 4.8KHz
 SSB 信号ON/OFF 
帯域幅 2.4KHz
 3.8MHz 1.0μV 0.2μV
7.2MHz 1.0μV 0.2μV
14.2MHz 1.0μV 0.2μV
21.2MHz 1.0μV 0.2μV
28.8MHz 1.0μV 0.2μV
なかなかの感度です

7MHz帯、あるいは14MHz帯、21MHz帯の受信をしてみて、安定度や選択度を含め、十分実用になる受信機です
取説には、2-NT以外にも、T-4Xとの接続も説明されているくらいですから、9R59Dと比較するなど失礼そうです
2020.05  JA4FUQ

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